0502 7.5合目 第2見晴台
7合目から8合目がいちばんきつい。面白みのない登りで距離・標高差ともにある。7合目〜7.5合目、7.5合目〜8合目で2合ぶんあると考えたほうがいい。もともと合目表示なんて何の根拠もないんだけど、精神的指標にはなるので。開けた場所に出たから8合目か?と思ったら「てんご」とか付いてやがるんだもの。うへぇ、ですよ。
0520 8合目 長官山山頂
単調で眺望のない登りがさんざん続いたあと、ようやく視界が開け、利尻山がおどろおどろしい姿をあらわした。山頂付近の崩壊ぶりは、ここから見てもかなりのもので、ざっくりとえぐりとられたように崩落した部分が恐ろしげだ。あれ本当に登れるんかいな…
0531 8.5合目 山小屋
長官山からしばらくはアップダウンの少ない稜線歩きとなり、小さいコルに山小屋がある。ここが利尻山への取り付き。小屋泊またはゲリラキャンプと思われるグループと何組かすれ違ったのと、自分より15分ほど前に出た夫婦連れを5合目付近で追い越したので、この先は無人のはず。あと夜中1時ごろ、山へ向かう足音が聞こえた気がしたけど、すれ違ったパーティのうちの1組だろう。じゃなかったらとしたら夢か、ちょっとした怪談だ。
0550 9合目 広場
看板にも書いてあるとおり、ここから先が正念場。ずるずるに滑る火山礫のガレ場が延々と続き、歩きにくいことこの上ない。横はすぐ崖になっているし、状態の悪さは聞きしにまさるものがある。崩落地の際を走る道は特に危険で、ロープが張られている。まだしも登るのは、慎重にルートを見極めていけばなんとかなりそうだが、下りはもう本当に大変。尻で滑り下りるのも手かもしれないが、下に人がいると使えない。そういう意味でも、早い時間に登るべき山だ。ロープ場なんか確実に渋滞する。下りではガイドつき登山ツアーらしき団体客と何組もすれ違ったが、あれが登ってくるのを上で待つなんて事態になったら、目もあてられない。落石危険のため登りが絶対的優先だろうしなあ。
0612 チシマフウロ
0612 ミヤマアズマギク
0616 ボタンキンバイ
食虫植物みたいな釣鐘型の花が咲いているのに気づいて撮ってみた。見渡すとほかにも、そこかしこにいろんな高山植物が咲いている。しばし目についた花を撮りながら、高山植物愛好家を気取ってみる。まったく興味ないくせに。
例によって帰宅後に名前を同定。ボタンキンバイは希少種らしい。たしかに1輪しか見つけなかった。気づかなかっただけかもしれないけど。
0650 南峰
休憩込み4時間、休憩なし3時間15分。
本当のピークである南峰は崩壊がはげしく危険なため、道はくっきり見えているが、立ち入り禁止になっている。祠が建っている北峰が実質的山頂。南峰まで行けると言われても、もう無理だったが。
変なアングルで撮ってるのは、腰が引けてへたりこんでいるからでございます。強風は吹いているわ、周囲は崖だったり崩落したりしているわ、もうこれ以上は無理。ここが自分の高所恐怖症の限界点。すぐ手前で、岩と岩のつなぎ目が空洞になっていて、その底が見えないのに気づいたのもまずかった。だってですよ、ああまで崩壊する軟弱な土壌の上に岩が乗っかってて、その上に山頂部があるってことですよ?いつまるごと崩落するかわからんじゃないですか!…ばかばかしいとお思いでしょう。今自分で考えたってばかばかしい。だが、そんなありえない事態を想像し、腹の底から震え上がってしまうのが高所恐怖症という人種の生態。最後に残った勇気をかきあつめ、3分ほど山頂に滞在したのが精一杯。とりあえず危険地帯を脱した9合目で休憩して行動食をとることにし、下山開始。まさにピークハントのみになってしまった。ヘタレですみません。全体にもやがかかって眺望イマイチ、北海道本島もサハリンも見えなかったので、まあいいか。
しかし山頂がいつ崩壊するかわかったものではない、というのはまんざら有り得ない話ではないと思う。自分が山頂にいるときにそれが起きる確立なんて無限にゼロに近いけど。特に荒廃がはげしい、登山道が周囲の土壌から数メートルもえぐられている箇所では登山道の修復を試みていたけど、大規模崩落が起こったら、それもこれもすべて終わり。9合目から先が立ち入り禁止になる日も来るかもしれない。
1014 下山
休憩込み7時間30分、休憩なし6時間。
予想よりも30分押して下山。9合目から先の下りと、団体とのすれ違いで時間をとられた。道がせまくてすれ違いに苦労するのだ。
休憩をとったのちにテントを撤収。ザックを詰めなおし、1100過ぎにキャンプ発。まだ完全に下山していない。港まで着いて、はじめて下山完了だ。昨日も立ち寄った利尻富士温泉で汗を流し、着替えをする。今回ばかりは30分ほどでカラスの行水。なぜなら自分には、温泉より大切な使命があるのであった。
つづく。