We Love You

We Love You

海外のクラブ・シーンでも知名度の高い日本人アーティストである坂本龍一。1990年にリリースされたこのシングルでは、同時代的な彩りが感じられる。すなわち、クラブミュージックの影響だ。私的な記憶に拠るならば、「Merry Christmas Mr. Lawrence - Drives R.S.」はFMラジオ番組のなかの企画からスタートしたものだったと思う。サンプラーリズムマシンを使いながら、実際に原曲を再構築していく過程が放送された。当時の状況からかんがみても、グラウンド・ビートやポスト・アシッド・ハウスといったクラブミュージックの影響がある。
1. We Love You
2. Strong Relax
3. Merry Christmas Mr. Lawrence - Drives R.S.

Heartbeat

Heartbeat
Satoshi Tomiie for Def Mix Production(富家哲)やJungle DJ Towa Towa(テイ・トウワ)が参加していることで、坂本龍一のアルバムのなかではNYハウスというクラブ・ミュージックの影響を顕わにした異彩の作品。もっとも、YMOからの流れで言えば、ポップ・センスとアヴァンギャルドさの独特なバランスは変わらないようにも見える。グラウンド・ビートを意識しているように思える「Tainai Kaiki」のアルバム収録ヴァージョンでは、Arto Lindsayがヴォーカル。
1. Heart Beat
2. Rap The World
3. Triste
4. Lula
5. High Tide
6. Song Lines
7. Nuages
8. Sayonara
9. Borom Gal
10. Epilogue
11. Tainai Kaiki

Heartbeat The Remixies


Satoshi Tomiie for Def Mix Production参加による「Heartbeat」のリミックスは、実にクラブミュージックのスタイルに則っている。リミックスによる構成のマキシ・シングルのリリース。Virgin Japanのジャンル区分では〈ロック〉となっているが。
1. Heartbeat (Club Mix)
2. Heartbeat (Ambientmix)
3. Heartbeat (Album Mix)
4. Triste

Tainai Kaiki II (Returning To The Womb)


こうした90年代初頭の坂本龍一作品の流れを振り返れば、日本がクラブミュージックの影響を否応なく受けていたことは明らかだ。80年代の日本音楽業界がドメスティックな市場で自閉的に満足していたとはいえ。穿った見方をすれば、坂本龍一の一連の試みは、グラウンド・ビートを「ハート・ビート」としてとらえ返したものであり、盟友David Sylvianをヴォーカルに迎えた「Tainai Kaiki II」で結実するように思える。異なる経路からの奪用か、あるいは普遍化なのか。
1. Tainai Kaiki II
2. Forbidden Colours
3. The Last Emperor (End Title Theme)
4. Nuages