ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ 続編 (4) ギリシアの自分さがし

こんにちは。Victoriaです。

さて、2011年11月13日、キャンパスプラザ京都で行われたライフネット生命保険の出口社長の講義、
前回は、西周が滅亡して、青銅器に文字を書く金文職人が各地に散らばったことを契機にめばえた中華思想について。


今回の話の舞台は、ギリシア


ギリシア人たちが、海へと出て行った時、
地中海世界海上交易を支配していたのは、


フェニキア人。



彼らは、優れた商人であり、
BC12世紀から何世紀にもわたって、地中海世界の交易の主役だった。



そこへ遅れて出て行ったギリシア人たちは、
いわば、新参者。



新規参入業者が直面する問題といえば、



既存業者との差別化。




ギリシア人たちは、フェニキア人と自分たちはどこが違うのか?
という問題に直面することになる。



いわば、国をあげての自分さがしが始まったわけで、



成長過程で自分のアイデンティティを求めるというのは、
国家レベルであっても一人の人間であっても同じということね・・・




さて、前回の周の滅亡を思い出してみると、
周が周囲の小国の王様たちから一目おかれたのは、
そのころまだ誰も持っていなかった、


青銅器


を持っていたからで、
しかも、その青銅器には、漢字を用いて、


周の歴史



が刻まれていた。


つまり、


国のアイデンティティ=歴史。



国が一人前として認められるためには、歴史を持たなければならない。



自己のアイデンティティというのは、
常に、他人に向かって自分の生い立ちを語る能力で計られる。


就活で立派なエントリーシートが書ける人が強いというのも、
アイデンティティが確立していると見なされるからだしね・・・



さて、フェニキア人に対抗するため、
いわば、国の威信をかけて書かれたのが、



イーリアス」「オデュッセイア」。



ギリシア神話を題材とし、
BC750〜730頃、ホメーロスによって書かれた叙事詩


BC700頃には、ヘーシオドスによって「神統記」が書かれた。


これも同じく叙事詩で、
これら三つの作品は、
すべてギリシアの歴史を歌い上げている。


古代ギリシアでは、
ギリシア神話と並んで、
これらの叙事詩ギリシア人たるもの、
必ず知っていなければならない教養のひとつと考えられていたらしいが、
そもそも、これらが書かれた時の事情が、
フェニキア人に負けない立派な歴史を持っているという自己主張の運動であったのだから、
当然だろう。




結論 : 「イーリアス」「オデュッセイア」は、ギリシア人の自己主張運動の産物である。




出口社長の講義は、
まだまだ続きます。



Victoriaでした。

生命保険


・・・

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