考える人 文庫特集 6

 当方にとっての新潮文庫でありまして、ここには三島由紀夫とか太宰治ははいってき
ません。それはないだろうといわれそうですが、あくまでも当方にとってであります。
 そういえば、高校の頃に新潮文庫にはいっている英国小説を注文して入手したことが
ありました。町の小さな本屋でしたが、ここで当方ははじめて本を注文したわけです。

チップス先生さようなら (新潮文庫)

チップス先生さようなら (新潮文庫)

 もともとは1956年に刊行されたものとありますので、すでに60年近くも前にでたもの
でした。どうしてこの本を読んでみたくなったものか、まるでおぼえていません。
( 高校の英語教師が、この小説を話題にしたのでしょうか。そういえば、その英語
教師は担任でありましたが、トルーマン・カポーティの『冷血』の翻訳がでたけど、
これはすごいと高校生の教え子たちにいいましたです。それからずいぶんとたって、
「冷血」が新潮文庫にはいったのを機に、この作品を読みました。)
英国の全寮制のパブリックスクールでの少年たちの物語でした。いまも自宅のどこかに
あるはずですが、当方にとっては印象に残る新潮文庫です。
 後年になって、この小説は映画化されました。
チップス先生は ピーター・オトゥール、その妻に ペトゥラ・クラークという配役であり
ます。いまのいままで、その妻はジュリー・アンドリュースだと思いこんでいました。
この映画もみていますし、ペトゥラ・クラークという歌い手さんのことも良く知っている
のに、どうしてこういう思い込みになったのでしょう。
 新潮文庫の翻訳物にも楽しませてもらったのですが、これで一番印象に残っているの
は、次のものでしょうか。
813 (新潮文庫―ルパン傑作集)

813 (新潮文庫―ルパン傑作集)

 ルパンものは、子どもむけにリライトしたもので読んでいましたが、70年頃には、
新潮文庫にはいった何冊かのルパンもので再読です。
なかで一番インパクトが強かった「813」です。「奇岩城」は岩波少年文庫でも読む
ことができて、これはこれでおすすめですが、「813」は「少年文庫」に不向きな
ものでありまして、それだけ大人向けといっておきましょう。
 当方はこれまで、ほとんど本を処分したことがないのですが、大学を終えて地元に戻る
時に、本をすこし同じ下宿の後輩たちのためにおいてきたことがありました。ルパンは
その時に、手放したようで、いまは手元にないようです。