これからでる本

 その昔にいきつけの本屋にいったり、本の配達を受けまましたら、一緒に「これか
らでる本」という情報をもらったものです。ここのところ、ほとんど目にすることが
ないなと思って調べてみましたら、いまも健在で月に二回の刊行が続いていることが
わかりました。これが創刊された頃は、今よりも町の本屋さんに元気がありましたの
で、たしか当方は最初の号をもらって目を通しているはずであります。
 そのころは、これからでる本についての情報などを一般の読者が入手する方法はあ
りませんでしたので、たいへん重宝した記憶があります。ネット時代になって、この
紙媒体の「これからでる本」のインパクトは薄れたように思いますが、それよりも大
変なのは、これを入手することのできる書店が少なくなっていることでしょうか。
 本日に、これから出る本としたのは、先日に届いた「波」に掲載されている新刊が
明日が発売日でありまして、本日に話題にすれば「これからでる本」というタイトル
を使うことができるなと思ったからでありました。不純な動機でありますね。

カストロの尻

カストロの尻

 金井美恵子さんの新作です。
 金井さんは当方にとって、小説の新作が出ましたら、確実に購入するという数少な
い作家さんであります。その都度、入手するやいなや読んでいるといえないのが、お
恥ずかしい限りですが、小説愛好家には金井さんの新作は外すわけにはいかないで
しょうよ。(ちゃんと読んでからいいたまえと、つっこみがはいりそうですが。)
 新潮社「波」6月号では、野崎歓さんが金井さんの新作「カストロの尻」について
書いています。それによりますと、今回の作品は「これから金井作品を読んでみたい
と思っている新しい読者にとって絶好の入門編」とあります。ひねた読者にとっても、
きっと楽しい読み物でありますことを願って、これを探してみることといたしましょ
う。