日本の高齢化問題を考える その2

さて前回日本の人口が今後どのようになっていくのかを見てみました。


今日はそのような社会はどのような社会になるかを考えてみましょう。
例えば電車内の中刷り広告などを見ていても「大学で勉強してみないか、学びたいことを見つけてみよう」みたいな広告を目にするようになりました。
明らかに今までは高卒で就職しようと考えていた世代を大学に行かせようとする意味の広告に変わってきています。


現在私立大学の40%以上が定員割れしております。
これなどはその年の出生数を調べれば18年後に何人の受験生になるのか調査することは簡単なわけです。
なのにもかかわらず各大学の経営者の危機感は学生を集めやすい校名の変更や学部の新設などに力を入れてしまい女子の短大志望生を4年生大学に招くことなどにより対応してしまいました。
その結果、女子の短期大学への進学率は今もなお減少傾向にあり大学進学率は上昇傾向にあるのです。
またこれが新規大学の建設ラッシュにつながってしまい将来学生人口が減少することがわかっていながら大学定員を増やしてしまいました。
この状態では近い将来、定員を集められずに倒産に至る大学が巷に溢れてしまうでしょう。
現在、既に大学進学率は5割を超えており2015年の大学入学定員数の約59万人に対して同年の18歳人口は約120万人でありますから進学率5割でもえり好みしなければ誰でも大学に入れる時代なのであります。


さて前回は2020年には女性の半分以上が50歳以上という衝撃の事実を確認しましたが、さらに2024年には毎年の死亡者数は150万人を超え出生数の2倍になるというのです。
つまり7年後には現在100万人を割っている出生数が75万人をも割ってしまうということです。
そしてこの年には今までは地方で少子高齢化が目立ち問題とされてきましたが、いよいよ東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)でも急速に高齢化が目立ってくるらしいのです。
そしてこの年に3人に1人が65歳以上となり生産年齢を外れるわけです。

地方の若者が東京に出てくる以上に地方の高齢者が40代〜60代の自らの子供を頼って東京に出てくるようです。
地方の家を処分して東京のタワーマンションを子供達に買ってあげて一緒に住むのです。
調査によれば2024年の日本の人口は2015年より390万人ほど減りますが75歳以上高齢者は490万人程増えます。
若い世代を昼間学校や職場の建物が吸収することを考えるとこのころはお昼の街を歩いているの東京でもはほぼ高齢者のみという現象がおこるでしょう。


人口は減少してきますが逆に世帯数は増えていきます。
これは1人暮し世帯がどんどん増加しているからです。
2015年の国勢調査では総世帯数に対して夫婦と子供世帯が26.6%だったのに対し1人暮らし世帯が34.6%となっています。
ですからこれからは世帯の標準モデルケースは1人暮しと言えるでしょう。食費や税金、光熱費を考える時、この世帯を中心に計算されるかもしれません。
要するに家族は、家庭という概念は数値上崩壊したのです。
名目上もこの年には家族崩壊元年となるのかもしれません。


認知症患者の増大も大きな問題となっていきます。
現在65歳以上の7人に1人は軽度な障害を含めて認知症となっております。
内閣府高齢社会白書のよればこのままのペースで行くと2025年には認知症患者が730万人となり65歳以上の5人に1人となるようです。
さらに働き盛りにも発症する人が増え2009年の厚労省の調査では若年性認知症患者も約3万7800人になっているといいます。
もはや2025年には全人口の6〜7%は認知症となり世界から認知症大国日本と呼ばれるでしょう。
これに伴い介護保険費用の増大は著しいものとなりこれもまた大きな社会問題となるのです。
今安易な救急車の利用には罰則を設けようと社会が動いていますが、これからは少々具合が悪い程度で医療機関を利用したら罰則になるのもありうることかもしれません。
というかそうしないと医療保険が保たないでしょう。


もう少し先を見てみましょうか、


最近リフォームの宣伝が目立ちます。
CMはもちろんビフォーアフターなどドラマ化した建築現場の話も放映されます。
なぜならこれからは空き家をどう直すかの市場を彼らが取り込みたいからです。


2033年には全国の3戸に1戸は空き家になるようです。
全国の空き家は現在820万戸に上り総住宅数6063万戸の13.6%を占めます。野村総研の試算では2033年には総住宅数は7126万戸となり空き家は2167万戸となり空き家率は30.4%まで上昇します。


要するにこれからは建物をバンバン建てようという時代ではないのです。
どのように空き家を利用していくかの時代です。
ところが政府も業界もバンバン新しい住宅やマンションを建設し空き家対策は後手に回っています。
逆に空き家を増やしてしまうような政策を講じてきてしまいました。
これから管理者のいなくなった住宅を町はどのように管理してくのでしょうか?
放っておけば景観を損ねるばかりか犯罪の温床や周辺地価の下落を引き起こすでしょう。


さらに2040年には自治体の半数が消滅の危機にあるようです。
ここで早くに高齢化社会となった秋田県のケースを見てみましょう。
秋田県の人口は2017年4月 100万人を割り込みました。
少子化傾向にありながら人口がむしろ増えていたのは子供が生まれたのではなくお年寄りが医療の高度化?のおかげで死ななかったからです。
つまり人口ピラミッドがそのまま上に推移しただけなのです。
そしてついにこれらのマジックが通用しなくなりました。お年寄りが次々に寿命を迎えたのです。
高齢者もいなくなれば若者も働く職場を失います。そして若者は東京に出てくるしかなくなるのです。つまり勢いをつけて人口が減少していくということです。


問題は地方ではこの現象はあり得ることとしてうなずけますが、都心部でもこの傾向が出てきたということです。つまり自治体の勝ち組と負け組でしょうか、
東京でいいますと例えば青梅市福生市などの都市アクセスの悪い自治体は既に人口減少問題に悩まされています。
さらに区部でも足立区、葛飾区、杉並区では軒並み人口が減少すると予測されています。
逆に中央区江東区などは大きく増えるでしょう。
これも今後のタワーマンションの建設計画からでしょうか、
だからと言って次々に地方都市にタワーマンションを建てようと計画するのは先ほどの空き家問題でみました通り愚かなのです。


さてそれではまだ生きているうちに迎えそうな最大の危機はいつでしょうか?
今から4半世紀後の2042年、高齢者人口は4000万人となりピークを迎えます。
この年には団塊ジュニア世代(1971〜1974年生まれ)も70歳以上の高齢者となるからです。
団塊ジュニア世代は子供を産みませんでした。
そう考えるとこれから出生数は加速的に下がります。
大きな母数の時にも増えなかったわけですから。


どうしてこうなってしまったのでしょうか、
これはもう過去からの就業難が影響を与えていると考えてよいのではないでしょうか。
団塊ジュニア世代は2017年で43〜48歳。ちょうどバブルが終わって企業が採用を抑え始めた頃が大学卒業の時でした。
そしてその後に続く世代も就職難の時代でした。
未だに壮年非正規労働者が多い年代です。
なぜ彼らが正規労働者になれなかったのか、それはその上の世代が自分を守ろうとしたからでしょう。
自分が取る給料を下の者に還元するのを嫌がり既得権を守ったからです。
さらにその日本人の悪い癖は今の企業活動の内部留保増大にも現れています。


現在実は儲かっている企業は多いのです。しかし企業経営者はこの20年の苦しみと今後いつまた世界が恐慌的事態になるか不安なためもう決して従業員には利益を還元しません。ひたすら溜め込みます。
そして個人も然り、懸命な人は貯金するもの、社会に還元しようなどとは考えません。
アリとキリギリスの童話は間違っていたのです。


私は日本人のこの性格がこの習性が今のこの現象を生み出してしまったと考えています。
自分を犠牲にしてでも新しい時代にチャレンジしていくことができないのです。
そしてたいていの場合はその通り自分は犠牲となってしまうでしょう。
そのような人たちを暖かく迎える社会が現在構築されているでしょうか?
ケアは十分でしょうか?、
冷たくスポイルしてしまっていないでしょうか?
これらの人をやりかた方が悪い、自己責任だなどと社会が冷たくあしらっていないでしょうか?
この基本的な考えを日本人が修正できない限りこれらの問題の解決は難しいものと考えます。


皆さんはどのようにお考えでしょうか、
私の考えは固定観念や常識にとらわれないよう大きな観点から考えるようにしていますので、この意見がぶっ飛んでいるものとは認識していますが、いかがでしょうか、