タンホイザー対訳〜第1幕と第2幕〜

オペラ対訳プロジェクトに第1幕と第2幕をアップしたのでご紹介です。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/161.html
訳していてつくづく感じたのは、「タンホイザー」はその後のすべてのワーグナー作品の源流だということです。これは「トリスタン」、これは「パルジファル」、ここは「ローエングリン」、ここは「ジークフリート」とイチイチ感じます。
このことは音楽面ではすぐ分かることなのですが、セリフの内容の面でもそうだと分かったことが、私にとっては一番の収穫でした。この点については、今後時間があったら取り上げていきたいと思います。
それにしても、第2幕でタンホイザーが「けんかを売る」のは、どうも釈然としないところです。「いくらなんでもここまでしないだろ」と思ってしまうのですが・・・。それだけ深くヴェーヌスの魔力に囚われているということなのでしょうが、どうもプロット的に納得しがたい所があり、そこが弱点でしょうか。
あと、第2幕の「歌合戦」というのは、もう少し「普通の歌」を歌わせればよかったんじゃないのか?と。ちょっと「凝りすぎ」のような気が。そのあとの第2幕の最後のほうの重唱は音楽的には成功していると思います。
こう書くと、まるでこの作品をけなしているようですが、実は「きちんとセリフを読むと予想以上に面白いなあ」という感想を抱いている今日この頃です。
一番いいシーンは、第1幕で「羊飼い」が歌うシーンと音楽ですかね。その後、タンホイザーが後悔の叫びを上げるところもいいのですが、素直に読むと、これは「巡礼の合唱」に感動したのではなく、「羊飼いの歌の素朴さ」に感動したように思えます。(これは果たしてオーソドックスな解釈でありましょうか?)