読書記録100

wakaba-mark2010-11-24

愛しき者はすべて去りゆく (角川文庫)

愛しき者はすべて去りゆく (角川文庫)

“ボストンの鬼才”デニス・レヘインによる、<探偵パトリック&アンジー>シリーズの
第4弾。クリントン米大統領が在任中、夏の休暇に別荘に持ってゆく一冊に選んだ
という作品。’01年、「このミステリーがすごい!」海外編で第14位にランクイン
している。
残念なことに日本では劇場公開されなかったが、ベン・アフレック監督・脚本で映画化された。今、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』というタイトルのDVDで観ることができる。
麻薬とアルコール中毒で定職もない母親が目を離した隙に、私生児の4才の少女
アマンダが消えた。事件が起きてから3日が過ぎても、彼女の行方はいっこうに
知れなかった。
パトリックとアンジーに事件を持ち込んだのは、アマンダの伯父夫婦だった。
夫妻の執拗な依頼に、きわめて見込みの薄いこの事件をやむなく引き受ける。
やがて少ない手がかりから、ふたりは、アマンダの母親が麻薬の売人の手伝いを
して、その売上金の20万ドルを着服し、アマンダは金を盗られた売人に誘拐された
のではないかとギャングがらみの怪しげな人間関係を突き止める。しかし、警察を
巻き込んでの大掛かりな捕り物も大物ギャングは殺されるは、20万ドルは無くすはと失敗に終わり、捜査は振り出しに戻ってしまう。
月日は流れ、それから約半年後、警察の腐敗と結びついたボストンの深い闇が姿を
現わし、再び事件が動き出す。そして意表をつく真相が・・・。
レヘインのストーリー・テリングは、決して短くないこの作品を一分の隙もなく、ぐいぐいと惹きつけて離さず最後の最後まで“読ませる”。そして運命はまたしても主役ふたりに過酷な試練を与える。本書はシリーズ最長ながら圧倒的なリーダビリティーを持った最大の問題作である。