座布団が行司にクリーンヒット

九州産馬、佐賀競馬、地方競馬、アビスパ福岡を応援しています

岩手競馬の民間委託が行き詰っているという話

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080911_6
http://www.netkeiba.com/news/?pid=column_view&no=10561
http://yosouka.net/cgi/mt/archives/000708.html
これまでのマスコミの報じられた記事の中では、岩手競馬組合と委託依頼相手の日本ユニシスとの間で
守秘義務契約」を結ぶか結ばないかという話だけで交渉自体が決裂してしまいそうになっているように見える。
我々素人から見るとまず「守秘義務契約」というのが何か分からないし、その程度のことで決裂してどうすんだ、
だからお役所仕事はダメなんだと言いたくもなる。実際岩手だけでなく全国どの地方競馬場の組合、JRAもですが、
過去や現時進行形の事例からすると何事においても腰が重くてなかなか取り掛からず、仕事の中身も実に保身的で
いまいち要点まで突っ込めない、中身の薄い計画や仕事が多いように感じるのは事実だし、それに対して批判が
出るのも頷ける話ではあるが、今回はそれだけの話なんだろうか。日本ユニシスは一体どんな提案をしているのか。

岩手県競馬組合と折衝に当たっているのは、同社産業機構研究所の矢島洋一所長。
(中略)矢島氏は次のように言っている。
「レース数を半分にする。1着賞金は今よりもはるかに高くする。しかし、出走手当ては払わない」「(競馬)組合職員は要らない。仕事やっていないんだし。欲しいのは優秀な現場の職人」等々。

http://www.netkeiba.com/news/?pid=column_view&no=10561

んんん?ちょっと待てよ。後半は百歩譲って言ってることは分かるとしても、前半は聞き捨てならんぞ。
出走手当てが払われなくないとなると馬主は一体どうやって稼いでいかなければならないんだ?
JRAですら形は少し違うが「出走奨励金」という名目10着まで支給しているのだが、地方競馬となると多くの馬主が
この出走手当てだけで馬主経済が支えられていると言っても過言ではないからだ。一部競馬場では下位クラスの
1着賞金よりも高くなるというこの出走手当てを払わなくするというのだから非常に大きな話である。
いくら1着賞金を高くしても、勝てない馬の馬主は走らせる度に赤字を出すのだからたまったもんじゃない。
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-2e34.html

先の調査特別委で、県馬主会の山本武司会長は「出走手当廃止では1着以外はすべて赤字。岩手競馬は開催できない」と指摘。県調騎会の熊谷昇会長に至っては「ユニシスのやり方に不信感がある」とまで言い切った。

現場の人間を大事にするというのなら、こういった馬主や関係者の声も聞かなければならないだろう。

現在の岩手競馬の出走手当は1開催1出走の場合で7万6千円。2出走だと5万6千円だったと思う。JRAだと未勝利戦でも35万7千円。預託料比でも岩手がどれだけ厳しいかおわかりいただけるかと思う。が、それさえもが消えると分かっていながら岩手で馬を走らせようという馬主が、果たしてどれほどいるだろうか?
かつて、ホッカイドウ競馬が手当を大幅に引き下げたことがある。
当然のことながら出走馬は思うように集まらず、一日の実施レース数を大幅に減らさざるを得なくなった上、1レースあたりの頭数が6頭とか7頭とかいう面白味に欠けるレースが相次いだ。結果として赤字に拍車をかけてしまったことを思い出す。

岩手競馬が再び正念場を向かえているかも・・・ - ストレンジアトラクション
アミちゃんを岩手に入れて思うこと : ぴぴすけの馬主日記
そもそも「レース数を半分にする」という方針も私には間違っているように感じるのだがどうだろうか。
半分と言うのだからとてつもない削減だ。馬は走れる状態にあるにも関わらずレースは使えないのであれば、
そんな競馬場に預託し続ける馬主はいないだろう。競馬場にとって一番良い状態というのは
「多くのレース」があって「多くの預託馬」があり「多くの預託料が入ってくる」状態を言うのだと私は思う。
厩舎や騎手は仕事が増えると同時に入ってくるお金も増えるわけだし、競馬場に多くの馬がいて、レースと開催数が
増えれば売り上げも伸びるのだから。この逆の状態に陥ってしまっているのが荒尾などの競馬場。
荒尾では一日9レースと10レースでは、たった1レース違うだけで売り上げにかなりの差が出るという。
1日のレース数は多い方がいいというのが事実上の結論だし、開催数が増えれば預託馬も増えていくはずだ。
しかし現状の荒尾は売り上げが落ちているから賞金や出走手当てをカットし、預託馬が減り、開催とレース数も
削減せざるをえなくなる負のスパイラル。ユニシスはあえてこの状態にしようとしているのだから、不思議な話だ。
また岩手が荒尾と大きく違うのは、その規模。単純な馬券の購入額だけ見れば全国で見ても南関東に次ぐくらいの
大きな売り上げがある。現状ではそれを圧迫するほどの経費が掛かっているのだ(借金の返済も大きな負担)。
この馬券の売り上げという競馬場の一番の収入源をカットしようとするというのは、どういうことなのだろうか。
むしろこの部分こそ積極的に推進し、他の無駄な経費こそ削減していかなければならないのではないのか。
もちろんユニシス側にも何かしらの策があってこそ、このような提案をしているのだろうとは思うが、
今の所は納得のできる具体的な説明がなされていないから反発も起こっているのだろう。


なぜか守秘義務契約の部分だけ先走ってしまっている感があるが、このような部分もしっかりと見定めておきたい。