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栗東の「厩舎12人体制」とは

浜中俊騎手のJRA年間最速100勝達成にみる騎手の二極化問題 - 座布団が行司にクリーンヒット
上の記事内に出てきた「厩舎12人体制」についても少し説明しておこうと思います。
これまで美浦栗東どちらも1厩舎20馬房に対して人員は13人という決まりでした。
これを美浦に先駆けて栗東が平成23年1月1日から12人体制にすることで、単純に人件費を削ろうというもの。

調教師会関西本部と労働組合の合意事項が載っていました。
ア、H23年1月1日より、厩舎従業員数を1名削減(退職などによる欠員が生じた時に補充を行わない)して20馬房厩舎では12人体制とする。
但し12人体制となった厩舎には、当初の2年間に限り従業員1人1ヶ月当り5,000円支給する。
*1人削減となった厩舎は1頭1ヶ月当り約25,000円の預託料減額になります。
イ、H23年度移行の厩舎従業員の新規採用者については、現行賃金の8割程度の賃金体系に改定する。
数年経つとかなりの預託料の減額になるようです。

http://pub.ne.jp/uma2001/?entry_id=3390774

人員が一人少なくなるわけですから、それだけ働く人にかかる負担は増えます。弊害も出てきているようです。
小倉滞在馬減少の深刻な理由


それでも今は時期が時期だけに馬主離れを抑えようと栗東の現場の人たちが努力されているのでしょう。
美浦の方はまだ13人体制のままです。この辺が「美浦労働組合は強い」と言われる所以でしょうか。
『競馬最強の法則』にも書かれていましたが「13人体制絶対維持!」をスローガンに掲げているそうです。
一方で美浦も12人体制移行は将来的には規定路線、という関係者のコメントもあったようですが。

圧倒的に関西馬の方が強いのはこのブログの読者ならご存じの通りで
年間、140億もある賞金の格差をどうやって縮めるか?
さらには、栗東は1厩舎20馬房で12人体制なのに美浦はまだまだ13人体制がほとんどで
当然にかかる人件費は美浦の方が高く つまりは美浦の方が預託料が高い。
これを是正すべく、東日本馬主協議会と美浦の調教師会とでいろんな話し合いをして
前向きに関東馬の成績を向上するために多数の策を提案しています。

http://ameblo.jp/nybokujo/entry-11305417422.html

新厩舎制度の影響
導入後10ヶ月。12人体制となった厩舎が50%を超える。
60歳以下の早期退職勧奨制度(本年限り)導入で例年より多くの退職者が出る。なお、65歳以上の加給金廃止が来年末に迫っていることから、より一層退職希望者が増加することが想定され、12名体制化が進む。
有給休暇取得促進への対応として、「研修生」制度の試行が行われ、本導入に向けて再検討はじまる。
(中略)
今年より厩舎制度改革として関西側も20馬房12名体制、本年1月から新規採用者に新賃金体系の導入、また早期退職勧奨制度ならびに60歳以上の選択定年者の加給金制度の廃止(平成24年12月末)を呑み、何とか現職の厩舎従業員の労働条件、特に賃金と雇用、そして退職金の現行を死守することに集中した。

http://www.keiba-union.com/index.php?%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%96%B9%E9%87%9D

厩舎で働く方々にとっては冬の時代なのでしょうが、今の厳しい時期においては仕方の無いことでは。
地方競馬で働く人たちからすればまだまだ大幅に恵まれていますしね(下ばかり見るのもどうかと思いますが)。
そしてもう一つ大きい改革は平成23年度限りではありましたが早期退職勧奨制度の導入でしょうか。
JRAの厩務員は、私が話として聞いたことがある限りでは、日本企業の伝統であった「終身雇用・年功序列」が
いまだに続いているという話。年代が上の、給料が高い人たちが残り続けているから、新人が入って来難く、
人件費も高いままで預託料を下げにくいと。この年は12人体制移行という目的があって早期退職勧奨制度導入を
1年限定で行ったようです。この仕事は重労働ですし、年齢が高くなるにつれて効率は悪くなるでしょうから…。
しかも高給ともなると、早期退職勧奨制度は今後も続行して良かったような気がします。
経営する側からの意見ばかり書きましたが、逆に言えば労働組合がしっかり機能しているわけで、
働く人にとっては有難いことでしょう。世にはばかるブラック企業も見習ってほしいものです。
参考:‘²˜_ƒuƒbƒNƒŒƒrƒ [

西日本馬主協議会からH21年度の預託料実態調査報告書が送られてきました。
H21年1月〜12月までの預託料資料を馬主より提供を受けて纏めたものです。
1)栗東在厩馬の1頭当りの平均預託料は609,636円で、前年比では0.5%減少でした。
2)美浦在厩馬は634,544円で、前年比0.6%減少、
 栗東在厩馬より24,908円高かった。
1頭当りの平均預託料の上位1,2位は関東厩舎、3,4,5は関西厩舎であり
1位厩舎は743,094円、5位厩舎は715,395円でした。
下位5厩舎は関東2厩舎、関西3厩舎であり、
最少預託料は関東の498,027円、5位は関西厩舎の535,338円でした。
このような努力により年々預託料は少しずつですが減少しているようです

http://pub.ne.jp/uma2001/?entry_id=3390774

しかし「12人体制」が始まる前からこれだけ預託料に差があるとは。これが平成21年度の話ですから、
「12人体制」が始まってからは栗東がさらに安くなり、美浦と大きく差が開いたことになる。
特集「東西格差の問題点」 | コラム「人馬一体」 | 一般社団法人福島馬主協会
美浦の関係者の人達は栗東との成績が開いた理由について「坂路が違う」「輸送で地理的不利」「水質が違う」などと
色々な格差を挙げますが、預託料にここまで差が出ていれば、馬主は当然安い方に預けたくなるだろうなぁ。
関連:「自ブロック優先制度」の目的とその影響 - 座布団が行司にクリーンヒット


ついでに参考までに、美浦栗東の違いの際によく話題に出る持ち乗り厩務員(助手)について。

持ち乗り厩務員(助手)と呼ばれる人たちがいます。
これは自分の担当している競走馬を、自分が乗りコースで調教する厩務員のことをそう呼ぶものです。
ちなみに持ち乗り厩務員は自分の担当馬にしか騎乗出来ません。
それ以外の馬に乗ろうと思ったら、攻め専と呼ばれる調教助手の資格を取らなければならないのです。
この持ち乗り厩務員。美浦栗東でかなり制度が違っています。
以下に列挙してみました。
美浦栗東の違い◇
美浦は1厩舎につき4人までの制限付き。
栗東は定員の制限は無し。その気になれば厩舎の人間全てを持ち乗りに出来る。
・持ち乗り厩務員という呼称は美浦のみ。
栗東では調教する人間は全て調教助手という名称に統一されている。
・現在の西高東低と呼ばれる競走馬のレベル格差は、この持ち乗り制度の東西の温度差も大きな要員と指摘され、それでも人数制限を維持しようとする美浦の厩務員組合は内外から大きな批判を浴びている。
美浦では現在持ち乗り厩務員の人数制限は維持しつつ、厩舎作業も行える持ち乗り調教助手を導入して調教要員の増加を試みている(調教助手は厩務員組合所属にはならないので問題が起こらない)
また持ち乗り制のメリットとデメリットも列挙してみます。
◇持ち乗りのメリット◇
・調教要員の増加により、一度に多頭数での調教が行えるようになった。(集団での調教)
・いままでは限られた調教時間の中で、少ない人数で順番に騎乗していたのでどうしても1頭に対する時間が少なくなりがちだったが、調教要員が増加したことにより1頭に対して長時間の調教が可能になった。
・日ごろの厩務作業と調教が一元化されることにより、流れの中で馬の管理が可能となり体調管理がしやすくなった。
◇持ち乗りのデメリット◇
1.厩務員の仕事量の増加(労働時間の長時間化)
2.持ち乗りと持ち乗り以外の厩務員の待遇の格差が付く恐れがある(労働条件の格差化)

http://blogs.yahoo.co.jp/nobuaki613/40567564.html