10.3〜9日記

10.3月
家で宿題デー。特筆すべきことはなし。

10.4火
普通に労働。同僚で23歳のヤンチャな若者H田くんが、おもいっきしコブシを怪我して出勤してきてて、「どうしたん?喧嘩?」と聞くとまさかのどんぴしゃ。彼女とケンカしてむしゃくしゃして(この時点では暴れてない)公園でひとりでタバコ吸ってたら、めっちゃじろじろ見て来る若者たちがいて腹立ってきたからボコってやったとのこと。こえ〜〜っ! 要するに見ず知らずの人たちを凹ったとのこと。こえ〜〜っ! でもそういう若くて血の気の濃ゆいタイプの知り合い、身近におらんので、話聞いてて結構たのしかった。

10.5水
わたし昔は髪の毛の質も綺麗で、学生自体はあだ名がキューティクルやったりした時代もあったぐらいなんやけど(ほんまです)、やはり年には抗えないのか最近はもう髪の毛全体が陰毛のようになってしまっていて、雨の日になると本当にしゃれにならないちりちりぐにゅぐにゅで、それがもうめっちゃストレスやって、これをどうにかしたいって悩んでおり、意を決して大っ嫌いな美容院へ行くことにした! ストレートパーマ、所謂ストパアをあてるためであーる! 先月名古屋にライブしにいったとき、一緒に泊ったカタンさんとスタッフのNちゃんに、お風呂あがりとかに「見てよこのチン毛のような髪!」ってゆって嘆いてたら、絶対美容院でストパア当てたと方がいい、安くて、いらんこと話しかけてこない美容院あるからっと教えてくれて、そこに予約したのであーる。しかし予約したはいいが、やっぱり美容院嫌いすぎて、寸前までバックレようか迷っていた。。。それぐらいわたしは美容院が嫌い、というのは去年のアウトデラックスを見てくださった方ならおわかりでしょうな。そんな大っ嫌いな美容院に、バックレずにちゃんと行ったのであーる! 緊張しながら予約した北村です、と伝えると、担当のS木です、と、ちゃらそうな細身でこんがり焼けてて休日は波に乗ったりしてそうな20代と思しき若者。「ストパアを当てていただきたいのですが、髪の毛の長さは変えないで、すいたりもしないでください、あとめちゃんこ白髪が多いのですが、ちょっと白髪染めまでお願いする経済力がありませんので、すみませんがその白髪は見なかったことにして、ただ、髪の毛をストレートにしてください」とお願いする。シャンプーやらを済まして、謎の薬液を長時間かけて塗りたくられる。確かにNちゃんがゆっていたように、無駄なことは話しかけてこない。何故ならこの美容師兄ちゃんは作業に必死の模様で、いらん世間話をふっかけてくる余裕がない模様。よかった。心からよかった。しかし隣の常連と思しき、ヤンママちっくなお客とその人担当の女性美容師は、仲良しなのかすごい大声でトークが盛り上がっててそれがすごくよく聞こえるので楽しく聞かせていただいていたのやけど、どうやらヤンママは旦那とよく殴り合いの喧嘩をしていて、半年ほど前に鼻の骨が折れたらしい。そんで病院行ったら、事件なのか事故なのか的なことですごいややこしくなって、あれ、DV的なやつやってなって警察とかからんでたりすると、保険きかなくなって10割負担になるんやってね。へ〜そうなんや〜と完全に他人事やけど勉強になった。そんなこんなでヤンママのトークをBGMにしながら、2時間ぐらいわたしは髪に何かを塗ってはスチーム的なものを浴びせられたりして、ストパア完了! 美容師兄ちゃんは最後、どうしても髪をすきたいし切りたいみたいなこといわれたけど、断固拒否してなんとか守った。出来上がり、眼鏡をかけて鏡を見ると、う、うーん、確かにもう全然チン毛ではないし、髪の毛つるつるで天使の輪っかが出来ている。すごい! たった千円札3枚くらいでこんなきれいになるんや。しかし、全体の毛のボリュームがぺっしゃんこになっちゃって、なんか楠田枝理子みたいになってて、ちょっと、うそーんて感じ。しょんぼりして帰路。帰って、なんとかもうちょっとふわっとしないものか格闘してみたけど、どうやら無理そう。しゃあない、しばらくは楠田枝里子でいこう。


10.6木
普通に労働。後、I田さんが我が家に来て、9日のIKAZUGOKEライブの練習をする。IKAZUGOKEはラップもするけどスナックソング的な歌も徐々に増えてきている。歌の練習とコントの練習などして、その後飲み屋へ。新規開拓したお店が広くてお座敷でしかもすごく安くて、超いいお店やった。ここ変なつくりになってて、お座敷の壁に厨房に繋がる電話がって注文のときはその電話で、自分の名前を名乗って、「北村ですけど、ウーロン茶とウーロンハイお願いします」みたいにいうわけです。ちなみに個室でも何でもないのでこの電話は他のお客さんももちろん共用です。I田さんとはしゃべってもしゃべってもずっとたのしいので、お話盛り上がり閉店までしゃべり尽くして退店、帰りに駅の方までとぼとぼ歩いてまた駅でちょっと立ち話してたら、なんかお兄さんがずっとこちらを見てて、もしかして「北村さんですか?」と聞かれる。どうやら飲み屋で、隣の隣のテーブルにずっといて、そのときから気づいていたとのことで、要するにアウトデラックスみてくれてわたしを認知してくださってる方やったのやけど、もうあれに出たの1年近く前やのに、よう覚えてはるなあ。実は未だにちょいちょい街中で道端で声かけてくれる方いらっしゃる。ありがとうございますその流れでライブに来たりCD買ったりしてね☆ て気持ちになるけど、そこまでしてくれる方はほぼいらっしゃらない模様です。

10.7金
普通に労働。後、新宿からバスで早稲田まで行き、どらま館で劇団サンプルの「ひとりずもう2」を観劇。へんてこでおもしろかった。みなさんわりとどこにでもいる普通の恰好で普通の喋り方で自然体で演技かどうか全然わからん感じやけど、やっぱりそれぞれおかしくて、野津ちゃんとか立ち方とかしゃべってるときの小さな動きも全部、よくよく見てたらだいぶ変で、主宰松井さんも芝居めっちゃんこお上手というかほんまに普段のまんまにみえるけどやってること相当危なくって、でも人間ってこうやんなってすごく納得するお芝居やった。ほんで大トリの古屋さんがやっぱり今回も強烈でド下ネタ全開やのでゲラゲラ笑ってしまった。けど、終わってすこし外でおしゃべりしてたら、あれはすごく丁寧に、やりすぎないようにしつつ、笑える感じの下ネタにって、めっちゃ繊細に作りこまれたお芝居だそうで、なるほど、これがサンプルの、狂ってるようで品性は乱れない、絶妙なバランス感覚を保っている秘訣なんやろうと思った。帰って夜中、壮絶なピンポンダッシュ被害に遭う。2時ぐらいに、寝てたらものすごいピンポンを連打されて、12回ぐらい連打されて、何事!?てなって、まあ、たぶんただの足立区のあほんだらのいたずらなんですが、一応こう見えてか弱き女の一人所帯なのでちょっとびびった。1ピンポンじゃなく、壮絶に連打するあたりが足立区っぽくて、知能指数を象徴している感じがするよね!

10.8土
昼から東中野でいまやっている映画の劇伴音楽の打ち合わせを、監督、プロデューサー、エンジニアさんとする。ここにきてやっと具体的な曲数や分数や、イメージなどが出そろったそうで、今まで作った曲は8割がたボツで使えるの3曲になってたので、これからまたがんばらないといけない! でも監督の抽象的な要望をうまいこと曲に変換するのがずっとむずくって困っていたことは、今日エンジニアK西さんとプロデューサーK原さんっていう監督のことを知り尽くした両人さんが事細かにかみ砕いて通訳してくれたのでイメージも具体的に見えてきて、なんか、頑張り方がやっとわかったので安心した。K西さんは映画音楽の録音エンジニアもたくさんやってらっしゃるだけあって、すごい具体的に、どういうものをどういう思考で作ればいいか、整理して教えてくれて、すごくすごく助かった。打ち合わせ後、ちょっとだけ飲み屋で乾杯して、わたしはすぐ抜けて夜は唐組の秋公演『夜壷』の初日を見に行く。今回、貴重な稽古風景からわたし、見せていただいちゃってたので、そうしてこうやって本番が仕上がるんやってのを見れて、すごいからくりを目の当たりにしてしまった感じもあって、色んな意味で感動。こういう現実とは完全なる別世界をお客の目の前に生身で出現させるって、そして1秒も飽きさせることなく夢中にさせるって、すごいことやなあと改めて思った。久保井さんが、まさかの恰好で登場したからわたし爆笑しちゃったりしたけど(ネタバレになるので詳細はいえません)、エピローグの演出はほんまに美しすぎてうるっときた。あと、登場人物それぞれにドラマがあるけどわたしは禮次郎ていうキャラクターに何故か感情移入してみてて、禮次郎はマネキンを母のように思って育ったって告白してる部分があって、なんかきゅーんとなった。プラトニックマザコンみたいな感じがたまらなく切ないね。終わって、乾杯にもお邪魔して、ずっと前からテレビで拝見してて魅力的な方やなあと思っていた女優のA藤T恵さんを久保井さんが紹介してくださっておしゃべりさせていただいたりして感激やった。あ〜おもしろかった、やっぱりわたしは唐組大好きや、この、インテリで文学少年少女な匂いと土臭い泥臭いマッチョな土方臭が絶妙に同居してて、わたしにはどストライクなんです。きっとこの秋もまた何度も紅テントに足を運んでしまうことでしょう。

10.9日
朝、今月25日にやるタブレット純さんとのイベント「タブ純早樹子のムーンライト赤坂」のテーマソング的な歌を作った。というかこの1週間ずっと悩んで作っていた曲が、やっとできた感じ。そして今日は飯田華子さんとのユニットIKAZUGOKEでライブの日。昼から飯田さんが我が家に来て、しばし練習をして、その後一緒に移動。今日は六本木の新世界というところ。到着すると、対バンの方がリハ中ですでにもうショーパブのような空気になっており、びびる。いそいそと準備して、我らは段ボールのコントセットを組み立てたりして、スタンバって、時間もおしてたのでみじかめに、とはいえ色々PAさんにきっかけを伝えないとあかんからしっかりリハ。対バンの踊り子さんたち、最初怖そうって思ったけど、コントのリハやってたらすごい爆笑してくださってて、ありがたかった。リハ終わり、飯田さんと近所の上島珈琲でちょっと一服しておしゃべり。六本木はちょっとお茶したくてもお高く洒落こんだ系の店しかなくて入りづらいとこばっかりやので、上島珈琲ぐらいしかない。ゆうてるまに本番の時間近づいてきたので会場へ戻る。対バンさんはセクシーなショーをやる踊り子チームとかなので、普段全く接することがない文化圏の方々で、ちょっとどうしたらいいかわからなくなっちゃったりしたけど、お客さんはすごくあたたかくって、我らIKAZUGOKEのコントもめっちゃ笑ってくれてて、DVDも買って下さってて、感謝感謝やった。対バンの天国さんは、とっても音楽的かつ皮肉でユーモラスで面白かった。イベント自体は異文化といえども楽しめて、会いたかったDさんZさんも見に来てくださったりしておしゃべりできたし楽しかったのやけど、その場で打ち上げが始まって、ライブハウスシステムで大音量でカラオケどんちゃん騒ぎが始まって、わたしは一気に体力も精神力も奪われ、ドンツードンツーのリズムで頭痛がはじまって瀕死。みなさんお盛り上がりやったけど、感じ悪くて申し訳ないけど我らは早めに退散。飯田さんと足立区へ帰り道、電車の中でふたりで差入れでいただいた手作りおにぎりを食べてたら、こんな夜に、しかも地下鉄の車内に、嘘みたいに綺麗な白いちょうちょがはたはたと飛んで来て、その光景がほんまに夢の中みたいな、ちょっと死後の世界な感じがして、あのちょうちょなんやったんやろう。足立区に着き、地元駅の魚民で乾杯。(この時間はもうチェーンの居酒屋しか開いてない)そこで何故か昔話にめっちゃ花が咲き、わたしはちいちゃいころいちばん恐怖やった天狗祭りについて、飯田さんに切実に思い出を語ったりして、朝までしゃべり尽くした。わたしの地元には毎年10月15、16日は、天狗に扮した町内会のおっさん(酔っぱらっている)が竹の棒をふりまわして秋田のナマハゲ的に暴れまわり、子どもらの頭をしばきまわる恐ろしい奇祭があって、わたしは本当に天狗が怖くて、天狗からどう逃げようか1年じゅうずっと悩んでいたぐらい恐怖やって、天狗が怖いがためにこの土地からはやく出て行かねばってずっと思ってた。今でもたぶんちょっと怖い。ああ、もうすぐ天狗祭りの季節。東京には天狗がいなくって本当によかった。