最後のマッチ

west2692009-04-06

今日の一枚はマッチの箱。甲斐産商店大黒葡萄酒とかいてある。宮光園の長押の裏から出てきた。
この家には古いものが良く残されている。ワインのラベル・ワイン・ブランデー・葡萄ジュース・新聞・出納帳・写真・葡萄の収穫が写された古い映画フィルム・最古の葡萄冷蔵庫等などがこれまで大量に出てきた。
このマッチ箱は解体中の職人が見つけ、監督に渡した。「こういうマッチ箱も重要なものなのかな」と思い、教育委員会のM氏に見せた所、大正時代の観光客にお土産に渡していたもので、このワイナリーの創業時代の商号が記されている貴重なマッチで、後にも先にも唯一残されたものなのだということが判明した。
存在すら今まで知られていなかったという、大発見だったらしい。解体のやりかた次第では発見できなかったかもしれない。危うく貴重な歴史資料が人知れず消え去る所だった。
下の写真は同じマッチの裏側のラベル。

マッチ箱は紙ではなく、薄くスライスした木の板で出来ている。こちらはワインではなく葡萄ジュースの宣伝をしている。
同時に古い鯨尺も出てきた。どうやらこの裏には墨でうっすら文字が書いてある。古い墨書きは水に濡らすと文字が浮き上がって読むことが出来る。M氏曰く、「葡稜萄源郷」と書いてあるのだそうな。
桃源郷と書くのが普通だが、あえて葡萄の文字を混ぜ込んである。ちなみに宮光園はワイン醸造だけでなく、早い時期から観光葡萄園を営んでいた。とことん葡萄でがんばっていた訳だ。