藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

残すより愉しみ。


隅田川の花火大会はずい分物々しい警備が敷かれていた。
事件が起こらなくて何よりだが、それにしても一段と「花火の瞬間」を撮っている人が多いことに驚いた。

今はにスマホで手軽に、高画質の写真や動画が撮れるから、ちょっと珍しいシーンはすぐに「保存して」となる。

けれど、「保存して後から何度も「鑑賞して」楽しみたい映像」と、
「その一瞬を楽しむ」ということは根本的に違う。

というかどんな記録も「生」にはかなわない。
デジカメで「あるシーン」の写真を撮っているというのは「そのライヴ経験の補完」だ。
その「保存映像」で、生のライブシーンを想起させるための。

記録メディアは決してライブを超えない。けれど記録は「記憶」では消えてしまうライブを永遠に残すということができる。

つまり、「そのライブを目いっぱい楽しむことができる」時には、あんまりスマホで撮影に一生懸命になることはない。
というより「ライブ」に接したのならその「ライブを目いっぱい感じること」に注力したほうがいいのに違いない。

この瞬間を残したい、というのは聴衆の素直な願いだけれど、それ以上に「その瞬間」って貴重なものだと思う。
むしろ「二度とは同じではないこの一瞬」を感じる気持ちが大事じゃないだろうか。

花火もライブも、目と耳で目一杯楽しみましょう。