半減期の長い原子を自然界から遠ざけるには

アメリシウムストロンチウムセシウムなど半減期の極めて長い原子をどうやって人を含む自然界から遠ざけるか。

液晶テレビが普及するより前の話だが、ブラウン管テレビの中には熱によって飛び出した電子を電磁石により加速させる小型加速器が入っていた。電子銃と呼ばれるものだが原理は同じである。

半減期が極めて長い原子を半減期の短い原子へ変えるために加速器を利用する方式が研究されている。ADSと呼ばれている。加速器を使って陽子を加速して金属にぶつける。飛び出した中性子アメリシウムストロンチウムセシウム原子核にぶつけてバラバラにする。
各国で研究されているが、日本では関東と関西にそれぞれ研究拠点がある。

熊取町にある京都大学の研究炉
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/research/div/nse/nes/ns

東海村にあるKEK/JAEAのJ-PARC
https://j-parc.jp/Transmutation/ja/ads-j.html

加速器のビームを止めればそれ以上反応は進まない。だからコンベンショナルな原子炉より安全と言う意見がある。しかし、昨年東海村で「想定外」の事故があった。ビーム出力が極めて短時間に高出力となり、ターゲットが蒸発し放射化した。この結果実験に従事していた作業者及び研究者が被ばくしてしまった。高エネルギーのビームを利用することのもつ本質的な危険性に目を向けるべきであったと後で言うのは簡単である。想定外の事故やシステムの故障にどう備えるかが問題である。人間を含む自然環境を危険に晒さないためには、安全工学、安全を確保するエンジニアリングの研究と両輪で進める必要があるはずだ。


以下、メモとして筆者の疑問を記す。

人為的に高エネルギーのビームをあてて原子を変換する。さらに変換時に取り出されたエネルギーを再利用してビームを作るというのがADSのアイデアである。

半減期とは何だろうか? これは「自然」に任せたら放射線が半分になるにはX年かかるという意味である。

素粒子のレベルで半減期というものを見るとどうなるだろうか?

10万年というのは人の一生から見れば長すぎるが、星の一生から見れば短い時間かもしれない。光速に近づくと時間はゆっくりになる。逆に早くなるのはどんな場合か。

なぜ10万年かかるんだろうか。