[日本経済]雑草経済を目指すということ 内需拡大編

渡辺千賀さんのエントリ「なぜ日本経済が諸悪の根源のアメリカより痛い思いをしているのか」の主張に賛成した上で、最後のくだりが気に入ったので、2年ぶりにブログを書く。

たとえば、「資本集約型」の究極として無人工場などあり。こういうのがいくら増えても労働者が増えない→一般家庭の収入が増えない→内需拡大につながらない。

「低付加価値の仕事はどうせ海外に出て行ったり、機械に置き換えられる」という人がいますが、それは「仕事=製造業」という固定概念があるから。床屋とか、看護師とか、ベビーシッターとか、ペットシッターとか、電気工事の人とか、水道屋さんとか、そこにいる人にしかできないサービス業は一杯ある訳で。

今回の世界同時大不況。合衆国経済の場合は、レバレッジ経済じゃない経済へどう軌道修正していくか、ということなんだろうけど、日本経済の場合は、渡辺千賀さんが紹介した記事にある通り、「内需拡大」をどう実現していくかが、一つのポイントなんだろうと思う。今、日本の大企業の主流派(製造業)は、自ら内需拡大しようだなんて全然思ってないみたいだから、内需拡大の主役はそれ以外の中小企業/個人のがんばりにかかっている。

派遣切り、雇い止めの報道をみていて、勤務地の製造業へ正社員として登用されたい、せめて首は切らないでほしい、という意思を持っている方々の希望が実現することはいいことだ、と思う一方で、その方々を含めて、新しい職業を模索されている方々の少なくとも一部分が「そこにいる人にしかできないサービス業」をおっぱじめられるようになることが、日本経済を雑草のように強くしていくことなのだと思う。

これは二つの理由で大変なチャレンジだ。まず、日本の政治は大企業が日本経済を牽引する、という戦略でずっとやってきたし、さらに悪い事にはそういう雑草の種を破壊する政策*1もとってきた。それが理由の一点。もう一点は、大企業にぶら下がることが成功の道だ、と長年刷り込まれてきた私達が、雑草として生きていくトレーニングをしていないこと。一人で起業だなんて、危険きわまりないと思いますよね、普通。そのトレーニングをしていかないことには、雑草は生えない。

「そこにいる人にしかできない」ニーズがある限り、ビジネスなりうるわけで。別のいい方をすると、「そこにいる人しかできない」ニーズを感じ取る能力をまずつけないと。例えば海部さんがしばらく前にやった「ベビーシッターキャンペーン」も好例。

このエントリでは日本経済雑草化について内需拡大に関して書いたけど、またそのうち外需拡大の文脈でエントリを書くつもり。

*1:例をあげておくと、北九州市の選挙について、どっかの政治家がつい最近こんなことを言っていったっけ。「大企業誘致のために何十億円を使う、っていうのはやめにして、例えば小中学校の耐震化とか、そういう地元の経済に根ざしたところに金を使えば、地元の大工さんに仕事がいって地元経済が潤う。」政治が、雑草化推進の立場かそうでないか、ってのは、政治レベルだとこういう形であらわれる。