純粋無垢な少女に芽生えた、歪で残酷な性の意識 - 「まりにわ牡丹」

あまりの衝撃と興奮に体を貫かれたので、予定を急遽変更してお届け。
と言う訳で、今回はCOMIC天魔』最新刊の新人作家が凄かったという話!
詳しい内容や感想はこれから語るとして、まず「ココが凄いヨ!」ポイントを二点。

  • 本番の描写が一切ない!
    (そもそも女子が一切脱がず、下着も全く見えない!)
  • 徹底的にこだわり抜いたフェチ&純粋な少女の歪んだ性意識の描写!


一点目の時点で、テンションが急激に上がった人もいると思います。
具体的には、性行為のない成人漫画が好きな人


更に、二点目にビビっと来た人も多いはず。
○○フェチに特化した作品は、勿論、その道の通の人には堪りません。
同時に、徹底して描かれるフェチ描写は、普段はあまり興味がない人をも魅了する魔力を孕んでいます。
そこに、純粋な少女の歪んだ性意識が加わるともなれば、眉唾物のご馳走に成り得るでしょう。
純粋なのに歪、無邪気なのに淫靡、そんな“少女”という魔性の存在が存分に描かれている気がしました!


※以下、本格的に18禁の話題につき収納。
まずは簡単に、掲載誌『COMIC天魔』の紹介を。
COMIC天魔』は、『COMIC LO』や『COMIC RIN』でお馴染みの茜新社が出版する成年漫画誌の一つです。
COMIC (コミック) 天魔 2011年 02月号 [雑誌]
成年漫画コーナーに立ち寄る習慣のある人なら、うるし原智志先生のイラストが飾る表紙に見覚えがあるのではないかと。
前回の2010年成年漫画ベスト5+αの新人賞で取り上げたイマコシステム」(緑のルーペは、本誌の不定期連載作品でした。
他にも関谷あさみ先生,笹倉綾人先生,瑞井鹿央先生などなどのロリロリ作家陣から大和川先生,エレクトさわる先生,けものの★先生などなどのグラマラスボディー作家陣まで幅広くTENMA COMICSとして単行本が発売中。
今だと草野紅壱先生が旬なのかなと思いつつ、個人的には、まぐろ帝國先生の「あいらんど」シリーズや言わずと知れた上連雀三平先生も強くオススメ出来ます。


そして、今回取り上げるのは、「まりにわ牡丹」という読み切り作品。
豆というお名前の新人作家さんのデビュー作品との事なのですが、この作品がとにかく凄かった!
惹き込まれた・魅了されたと言っても良い蠱惑的作品でした。
舞台となるのは、和風建築のお屋敷。
着物に身を包んだ幼いお嬢様と使用人の男性との“遊び”が描かれています。
但し、お嬢様お気に入りの“遊び”はフツウとは掛け離れていて―――という出だし。
一見すると、お嬢様との性的な戯れが見られて、読者は使用人の男性目線で心地良くなるのかなと思えます。
しかし、読み進めて行く内に、ナニカガオカシイと気付くはず。


まず、この作品、成年漫画にも関わらず、セックス描写が一切ありません
そもそも、お嬢様は衣服を一切脱がず、下着を見せる事もないという徹底っぷり。
成年漫画でセックスをしない・脱がないという手法は、前例がないくらい珍しい事ではありません。
実際、私のようなセックスをしない成年漫画ファンも、結構いるのではないでしょうか?
けれど、前例があったとしても、多くの成年漫画が何らかのセックスを描いている事実は揺るぎないです。
その中で、セックスを描かないと言うのは、もしかすると異端なのかもしれません。
しかし、癖のある変化球だからこそ、際立って輝く事もあります。
着物に身を包むお嬢様と全裸の使用人
例えば、お嬢様が脱がない&セックスがないという事実は、読んでいて違和感や驚きをもたらすはず。
また、着物を纏ったままのお嬢様に対し、全裸にさせられていく使用人の男性。
この身に付けている物の差は、そのまま彼等の精神的関係(お嬢様の方が優位)にも繋がると思います。


それでは、今作は、実用性のある成年漫画ではないのでしょうか?
いえいえ、そんな事はなく、しっかりとした実用性を誇っています。
その実用性を支えているのが、徹底したフェチ描写、今作では玉虐めです。
ソフトな玉揉みから、踏み付け、果ては金的や握り潰し。
今作で描かれる18禁描写の殆ど全てが、何らかの玉虐め。
そのバリエーションには、ただただ驚かされるばかり。
普段の感覚なら「痛い!」と引いてしまうかもしれませんが、こうも徹底されると感心と共にグイグイ惹き込まれて行きます。
蹴鞠のように楽しい金的
そして、この歪んだ“遊び”へとお嬢様を突き動かすのが、純粋な楽しさのみと言うのがまた狂っています。
お嬢様には嗜虐心や性欲を満たしたいという意図は全くなく、蹴鞠と同じくらい楽しい遊びをしているという認識。
コロコロ変わる表情だけを追っていくと純粋に楽しそうで、でも目の前で起こっているのは大の大人を相手にした玉虐めのオンパレードという歪な行為。
純粋で、無邪気で、でもどうしようもなく歪んでしまっている二人の関係。
この狂気にあてられると、玉虐め(られ)フェチでなくとも、不思議と性的興奮を抱いてしまうのではないかなと。


そもそも、この歪んだ性の意識は、使用人の男性が植え付けてしまった物。
彼が、溜まった欲望の捌け口として純粋無垢なお嬢様を利用しようとしなければ、こんな異常な事態は起こらなかったでしょう。
男性の一時の性欲と悪巧みが、彼自身だけでなく幼いお嬢様の世界をも塗り替えてしまった訳です。
ある意味では、彼等は共に加害者であり、被害者なのかもしれません。
いずれにせよ、男性の思惑は外れ、お嬢様の中に眠るサディズムを無意識に目覚めさせてしまいました。
無意識の嗜虐的微笑み
純粋なのに歪で、無邪気なのに淫靡で、残酷なのにどうしようもなく愛おしい。
今作では、少女という存在が生み出すアンバランスな狂気がとても心地良かったです。
デビュー作と言う事で、次回作以降にも期待が募るばかり!



ちなみに、今作で強いて難点を挙げるとしたら、作者名です。
「豆」って!全然検索できないヨ!
私も「葵(あおい)」という他人の事を言えないHN(そのための「酔いどれ眼鏡」でもあったり)ですが、やはり一目惚れした作者の情報は知りたくなるのが性。
もし、サイト,ブログ,pixiv等があったら是非とも見てみたいので、情報求む!
21:00追記
ゴルゴさんが一晩掛からずに情報提供して下さいました。
豆 on pixiv
ゴルゴ△!ありがとうございます!