畑村洋太郎「数に強くなる」

数に強くなる (岩波新書)

数に強くなる (岩波新書)

 「失敗学」で有名な畑村洋太郎氏による「数に強くなる」本。数は3つの構成要素から出来ているという。

 (1)種類
 (2)狭い意味での数
 (3)単位

 なるほど。そのうえで、様々な「数」で思考する方法が紹介される。音階を題材に、人間は「6%」変化すると認識するとか、「数の秘密」のような話も紹介される。ざっくり推計する方法とか、もろもろ面白い。経営につながる話も出ていて、よくいわれる「2対8」の法則。2割の商品が8割の売り上げを稼ぎ出す。あるいは、2割の社員が8割の売り上げをつくる。「2−6−2」の法則もあって、人間の集団というのは、2割の「優秀な人」と6割の「普通の人」と2割の「ぶら下がり人間」で構成される。で、ここから敷衍されるのは、経営改革で社員の過半数を変えなければならないというのは間違いで、優秀な2割の過半数の支持を得ればいい。ということは、社員の1割を変革できれば、会社も変わるというわけ。なるほどなあ。で・・・。

 人間が作る集団の特性をよく理解して上手に利用すれば、変革は可能である。そしてそれが実行可能なのは、全体をつかむことができ、なおかつ全体の決定権をもつトップの人間のみである。すなわち、社長ただ一人である。

 トップの「1」が決定的な「数」なわけね。