F1ジャーナリストの川喜多氏の第3期ホンダF1戦記。読み始めたときは、
GMまでが国有化される昨今、ホンダがF1から撤退するのも無理はないではないかと思って、読み始めたのだが。読んでいて、面白かった。スポーツの話であると同時に、F1ビジネスの世界でのマネージメントの話。
アイルトン・セナが活躍した第2期ホンダF1時代はよく見ていたのだが、第3期は
佐藤琢磨という日本人F1
パイロットがいるな、という程度で、それほど身を入れて見ていなかった。第3期でも結構、勝っているのかと思っていたら、違っていたんだなあ。著者は、第3期ホンダF1の迷走ぶりを現場取材を通じて描くが、確かに、ここには日本企業にありがちな責任者不在の迷走ぶりがある。結局、フツーの会社になってしまったんだなあ。まあ、フツーでなければ、大企業になれないのかもしれないけど。
モータースポーツの話としても、マネジメント論としても面白かった。しかし、ホンダF1といえば、第1期は映画「グランプリ」に昇華され、第2期には、
海老沢泰久の美しい
ルポルタージュ「F1地上の夢」があったわけだけど、第3期は、川喜多研が捧げるホンダF1挽歌になってしまったんだなあ。