第167回長崎寄席


柳家いっぽん「転失気」
入船亭遊一「夢の酒」
柳家緑君「二十四孝」
ボナ植木(マジック)
 (中入)
柳家緑君「狸の鯉」
入船亭遊一「ねずみ」
 (3/26・ひびきホール)


いつもと変わらず盛況。世話人さんいわく「噺家さんによればあちこちの会が中止で仕事がないそうだから、ここだけでも開催しようと」。中入時の福引では、前回に続いてビール半ダースを当てた☆
色物のボナ植木ナポレオンズの大きい方。息抜きとしてさすがに面白い。


いっぽんさんは若者らしい時事ネタのマクラを長めに振ってから、新ネタへ。だいぶこなれてきた様子、でかい言い間違いも丸く収める(笑)
「夢の酒」は、落語を聴き始めた頃に遊一さんのおじにあたる(…とは言わないか・笑)扇辰さんのを観たのが印象的。遊一さんのは女がねとねとしてないのが好み。
緑君にはよく遭遇するけど、本当に憎めない感じ。花緑師匠とのエピソードを聴いて、二人でいるとこ想像したら何だか可笑しい。この日の二席はキャラクターに合っていた。

落語物語


映画としてはそう面白くないけど、出演してる落語家さんたちを見るのが楽しかった。皆いい演技。一番嬉しかったのは喬太郎の見事な啖呵(でも役には合ってない・笑)。その後しばらく、映画の内容より、久々に彼の高座観たいなあということに思いを馳せていた(笑)



ピエール瀧演じる師匠に惚れて弟子入りした青年を中心に、おかみさん(田畑智子)、前座仲間や厳しい師匠、テレビで人気のアイドル噺家など、現代の落語人たちの姿が描かれる。
落語家が監督だからか、登場人物のセリフ全てに「こういうこと感じてる落語家さん、いるんだろうなあ」と思わせられる。でも「羅列」っぽいというか、監督のエッセイ読んでるみたい。セリフを生み出す「お話」が大事なのに。
私が落語は笑えりゃいいと思ってるからかもしれないけど、描写が辛気臭くもったいぶってるのも辛い。病室のシーンなんて耐え難く、それこそ落語会でやたら長い人情ものに遭遇したような気分。最後の主人公の高座のくだりは楽しくて良かったな。


寄り合いにて「女の古典(落語)はどうもね〜」などと話してる師匠たちが、朝丸(三遊亭小円歌)に気付いて「いや、師匠は美人で華があるから」とか何とか言う。「女の古典」についてどう思うかなんて人それぞれ、その後の対処が最悪なわけだけど、そういうとこも含めて、女噺家へのセクハラについては、ぎりぎり、そういうことがありますよ、という姿勢として受け取れる。対して「落語娘」なんて、セクハラ自体をほのぼのギャグとして扱ってるから、嫌なこと思い出して吐き気がしたものだ。
アイドル的な女噺家が「下着をたくさん干した部屋でコンビニ弁当を食べ、道ならぬ恋をする」ってのはあまりにあまりな描写。でも、そもそも落語ってそういうものなんだろうな。型でもって描くというか。


田畑智子の体調が悪くなると、外で犬が吠える。私が昔飼ってたのにそっくりでめちゃ可愛い犬なんだけど、最後のシーンで飼い主のピエール瀧に全然なついてないのにちょっとがっかり(笑)

マイキー&ニッキー



「俺って同じ話ばかりしてるか?(あいつにそう言われた)」
「そう?気付かなかったわ」
「気付けよ!これからはそういうの、気にしろよ」


76年エレイン・メイ監督、日本ではビデオのみリリースされてた作品がニュープリントで劇場初公開とのことで、ユーロスペースにて観賞。



組織に追われるニッキー(ジョン・カサヴェテス)が幼馴染マイキー(ピーター・フォーク)に助けを求める…とあらすじ書くのも馬鹿馬鹿しい、カサヴェテス&フォークの腐れ(縁)オヤジ二人組が延々とドタバタを繰り広げる話。「押問答」がテーマのスケッチが幾度も繰り返されるとでもいえばいいかな。カフェのカウンターを飛び越えるフォークに親友を蹴ろうとしてずっこけるカサヴェテス、二人のアクションも楽しい。


始めフォークが、その後はカサヴェテスが、入れてくれとドアを叩く場面が繰り返される。女たちは抵抗しながらも彼を入れたい、入れてしまう。しかし最後のドアだけは開かなかった。
私はめそめそした女しか出てこない映画は嫌いだから、この映画も、面白いけど好きじゃない。もっと明るく!やることやって追い出せよ!と幾度も苛つかさせられた(笑)


真夜中少し前から、早朝までの物語。ネオンは最小限で町は暗いのに、お店も人も宵っ張りで、これからの日本もこうすりゃいいのにと思った(笑)12時過ぎてもバスは動いてるし、汚い飲み屋じゃ老カップルが談笑、オールナイトの劇場にもそこそこ客が入ってる。ボスは仲間とチーズをつまみながらカードの最中。ごく普通の朝の光とともに迎えるラストシーンがいい。


登場時からしょぼい殺し屋を演じるネッド・ビーティもいい。エンドクレジットでは二人と並び、メインキャスト3人という扱い。「ホテル代ひいたら儲けなんてゼロ」「3つの仕事のうち、簡単そうだから選んだ」「俺にも標識くらい見える!」などぶつぶつ言いながらハンドルを握る。
…なんて書きながら、この人何に出てたっけ?と検索したら、デビューはジョン・ブアマンの「脱出」(面白い!)の、早く風呂に入れてやりたくなるキャラナンバーワン、あの白でぶかあ。来月公開の「キラー・インサイド・ミー」にも出演してるらしいから、楽しみ。