愛天使伝説ウェディングピーチ 第51話「ラスト・ウェディング」

いよいよ「ウエピー」も最終回。

ようすけがレインデビラと決着をつけるため、ただ1人で悪魔界へ向かう決心をする。そんなようすけに対して、ゆり、ひなぎく、スカーレットは、ももこと結婚式を挙げて欲しいと懇願するのだった。ようすけは最初断ったが、やがて彼女たちの願いを受け入れ、ももこと結婚式を挙げる。ももこは、結婚式の席で、ももこはようすけに問い詰める。「やっぱりようすけは、1人で悪魔界へ行く気なのね………ようすけはあたしを危険に巻き込みたくないから、だから、あたしを諦めさせようとして、あたしとの結婚式を………そうなんでしょ?………ようすけ!」しかし、ようすけは前を向いたまま何も応えない。やがて2人は神父を務めるたくろうの前に来て、愛の誓いを交わす。その時、レインデビラが人間界の元に猛攻をかけてきたのだった………。

この、ももことようすけが結婚式を挙げる下りが、切なくて実に良い。ようすけ本人も周りの人間も「悪魔界へ向かう」=「死ぬ覚悟で行く」という言葉は一言も言っていない。(おそらく、「低年齢少女向けアニメ」という枠組を配慮してのことだろう)にもかかわらず、ようすけの死を賭す覚悟が、2人の厳かな結婚式を通して、はっきりと伝わってくる。
2人が「まだ中学生である」こともポイントになる。2人はまだお互いに恋人同士になったばかりで、当たり前だが結婚にはまだ早い年齢である。にもかかわらず、敢えて「結婚式」を執り行うというのは、「死地へ赴く前に、せめて2人が愛し合ったことの形を残したい」と解釈できるだろう。自分達も死地に向かう覚悟を決めている上で、ももことようすけにウェディングセレモニーをセッティングするゆりやひなぎくの周りの仲間達の想いもまた、切ない。

後はまぁ、「全員が力を合わせて敵に向かっていき、悪の力に負けそうになるけれど、最後の最後で愛の力が勝つ」といった、美少女戦隊ものらしい大団円で話は終わる。とは言え、湯山邦彦絵コンテ、須藤典彦演出、富田祐弘脚本、一石小百合作画監督というメインスタッフ総出でとりかかった作品だけあって、ラストに相応しい盛り上がりを見せていた。

全52話という長尺を、丁寧に、綺麗にまとめた、納得のゆく最終回となったのではなかろうか。

[総評]

高校生女性向けをメインターゲットとした漫画作品であっても、「彼氏に惚れた裏切られた」だののドラマが現在の主流である中、低年齢層向け作品として、ここまで深いテーマ性とドラマ性を孕んだ物語を(しかも、「オサレアニメ」等の看板を掲げず、あくまで「美少女戦隊もの」という枠組を守りながら)展開してみせたスタッフ達の力量と志の深さには、本当に頭が下がる思いである。

ドラマ部分も、恋愛描写も、昭和時代のような古臭さがあり、どこか垢抜けない印象があったことも拭えない事実だろう。しかしだからこそ、小手先のオシャレやセンスに走らず、人間を描こうとする誠実なドラマとして成立できたとも言えるだろう。

氷上恭子宮村優子、ゆかな等、当時新人だった声優たちが初々しい演技を見せてくれたのも収穫であった。

シリーズを観始めた当初は、「単なるセーラームーンの二番煎じ」くらいの気持ちで観ていたが、いい意味で大きく裏切られることとなった。素晴らしい作品だった。

ウェディングピーチ第15巻 [DVD]

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