【ネタバレ注意】大橋義輝『毒婦伝説:高橋お伝とエリート軍医たち』


ひきつづき大橋義輝『毒婦伝説:高橋お伝とエリート軍医たち』を一気に読みました。
"毒婦"高橋お伝の陰部が"典型的淫乱の陰部"としてホルマリン漬けになり、東大に保管されているという説は有名ですが、1932年頃に陰部の測定が行われて、その測定と考察をしたのが後に731部隊の関係者になる人だそうです。高橋お伝が死刑になったのが1876年なので、既に50年経っているわけですが、何故そんな頃になって測定が行われたのか?さらに太平洋戦争直後、浅草松屋デパートで陰部が展示されたとか、その後、個人が所持していたとか、衝撃の事実が明らかになります。
結局この本にはオチがなく、「なぜ陰部測定が行われたのか」「陰部はどこに行ったのか」などの答えはありません。「ステーキにして食べた可能性があります」という酷い妄想オチが付けられていますが、50年以上ホルマリン漬けだった肉を食べたら死ぬと思います。
肝心の東大医学部の標本室に入ることが出来ず、陰部のホルマリン漬けがあるのかないのか不明なままなのは致命的ともいえるし、「私は自転車に乗った」「私がテレビ局在職中には」など無駄なオレオレアピールは邪魔で、本書の価値を低めてしまってすらいます。それでも高橋お伝を論じるにあたって必携の一冊なので、ぜひ読んでみましょう。
終盤、高橋お伝の頭蓋骨が浅草区田町(現・東浅草5丁目or6丁目)に保存されていたという説が記されています。著者は現地に行ってみたけど「宮田という家は見当たらなかった」とのことです。
...浅草で宮田といえば、宮田レコードを思い出しました。場所的にも東浅草の隣町なのですが、まさかまさか