開成調教師 安馬を激走に導く厩舎マネジメント (競馬王新書16)
- 作者: 矢作芳人
- 出版社/メーカー: 白夜書房
- 発売日: 2008/10/24
- メディア: 新書
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読了。良い本でした。
調教師本のほとんどは「G1馬を育てた名トレーナーの哲学」というふれこみで、中身は、マスコミから見たデータと、名馬に関するコメントで終わり、と言うモノが多い。今まで「ちょっと違うな」と感じたのは、雄先生の本を白眉として、白井先生の本、あとは良くも悪くもと言う意味合いでカズー関連の本。
この本の特徴は「G1トレーナーじゃない」って事がまず挙げられます。しかも、順風満帆のスタートを切ったわけでもない。現在でも、勝ち鞍の大半は地味で、血統も一流ではない。そう言う厩舎の、しかも、調教師の声がふんだんに盛り込まれている一冊。助手時代から培った「書ける」という、調教師としては異彩を放つ能力が、フルに活かされています。その辺の競馬ライターより余程文章面白い。無論、筆談やゴーストを使った調教師本とは雲泥の差です。現役の調教師が、新聞に出た自分のコメントを解説する、なんてのはかなり斬新ですね。
良いな、と思ったのは、スーパーホーネットやエイムアットビップのことばかりじゃなくて、下級条件馬のマネジメントも、具体例を数多く挙げて扱っていること。ミューズマジックも、ピックアップされています。ちょっと嬉しかったです。
現代競馬を紐解く読み物としてもお奨めしたいですが、一口・POGでこの調教師に興味のある方は、必読ですよ。安いですし。