自分勝手な感傷

(今日はオチなし!)
 埼玉の大宮で呑むのは久しぶりだった。俺にとって大宮は十代の時に通ったガッコと初めて就職した会社がある街だ。
 駅でツレと待ち合わせてガッコに行ってた頃に昼飯に使っていた居酒屋で近況を報告しあう。彼とはたまにしか会わないのだが昔話に花が咲くことはほとんどない。近況と今考えてることと、ちょっとの愚痴とほんの少しの弱音。彼と話してると元気になる。いつまでも付き合っていきたい友人の一人だ。
刻はあったいう間に過ぎて終電の時間になる。最初からマンガ喫茶に泊まるつもりの俺は埼京線で帰る彼を見送り、もう一店寄ることにした。
 俺が働いていた前の会社でそこのママさんがOLをしていた。もう十年近く前のことになる。部の飲み会で引きづられて行った先はだいたいその居酒屋だった。
 俺は当時、家と会社の往復するだけの生活だった。そんな俺がママさん含め呑んでる相手から何度諭されたことか、説教されたことか。そんな俺が数年ぶりに顔を出すのである。ママさんにとっての俺は「一人で数年ぶりの飲み屋に顔を出す」こと自体がありえない。変わったねと笑うだろうか。
駅から歩いて五分ちょっと、店の前に辿り着いた。
店の名が……変わっていた。
 俺の思い出の中にあるのその居酒屋はサラリーマンの憩いの場所だった。だけど目の前にあるその店はOLのための店だった。ホストクラブではないようだが看板にある店名の上のあおり文が「イケメン6人がいる店!!」とあっては経営者が変わったようにしか見えなかった。
 あの頃が走馬灯のようによみがえった。会社の人たちの飲んでいる姿が次々に浮かんでは消えるー…
 店からOLが出てきた。入り口で立ち尽くしていたオレは道を譲る。店を見上げてきびすを返す。入る気にはなれなかった。
春の夜風が体を通り抜ける。暖かい風を少し冷たく感じた。
 
 

サウンド・オブ・ミュージック [DVD] ★★★☆☆

建前

 修道院で生活を送るマリアは歌が好きで爛漫で、他の修道女は憎めないが扱いきれない。マリアは退役大佐の下に家庭教師に出ることになる。大佐は妻亡き後、家に笑い声が戻るのを嫌い規律で子供たちを縛っていた。かたくなだった子供たちはやがてマリアに心を開き、大佐はマリアを疎ましく思うがだんだんと....
 ナチスドイツの侵攻という時代背景をうまく使いながらマリアと子供たちの交流と大佐の心の氷が解けていくのを見事に描いている。

本音

 中学生のときの音楽の授業で見ました。良くも悪くも分かりやすくて中学生が見るのにちょうどいいかも。長女の年齢が17歳で好きな男がいるのも魅力的に見えるはず。でも物語の根底に流れるナチスドイツへの反抗はあの頃は分からなかったなぁ。今見ると男爵夫人のオンナの狡猾さは見事。
 星が三つなのは、しょうがないがマリアと子供たちの和解が早すぎる、長女の彼氏がちゃんとストーリーに生かせなかったから。それと物語上は子供は七人も要らない(長女だけで十分かも)、合唱団的には必要だったんだろうけどさ。