『双子のゲーム』の一日

 7月8日。

 着ぐるみペンギンの調整に手を付けないまま、当日の朝を迎えました。仕事に行くのよりも少しゆっくり起きて、自分でペンギンを着て調整しました。

 荷物をなるべく少なく!と思いつつも、ペンギンを連れて出掛けるのですから、大荷物には代わりありません。既に筋肉痛気味になりながら渋谷のいつものスタジオへ。受付には私の好きな女の子が座っていて、松村君が来るまでの間、ペンギンを自慢(苦笑)しました(しかし、本当にいつも期待通りの可愛い大袈裟な反応をしてくれるのです。最高!)。

 今朝出来上がったばかりという新曲(タイトル無し)の歌詞を貰って、練習をしました。前日、「ここが気に入らない」と言っていた部分がゴッソリ変わっていました。

 歌いながら、マニキュアを塗ったり、予約表を作ったりしているうちに、妙に恥ずかしい気持ちになってきて、変な顔をしていたら、「どうしたの?」と訊かれ、「何だか、今になって恥ずかしくなってきた」と言ったら、「それ変じゃない? 今になって?!」と馬鹿にされてしまいました。「ふと、立ち返って恥ずかしくなったりする事無い?」って訊いたら、「無い」との答えでした。勝手なイメージですけど、流石つくば大卒の人だなぁ、と思いました(つくばにはパフォーマンスの授業があるらしい)。


 会場である青い部屋には、リハ開始の時間より少し遅れて着いてしまいました。リハは想定の範囲内で順調にズレましたが、最終的にはイイ感じに収まりました。

 いつものように、タニシKちゃんはドキドキしっぱなしで本当に可愛いかったのです。リハが終わって、西代さんと3人で並んで化粧をしていたのですが、普段殆ど化粧をしない3人なので、お互いに化粧についてする質問がちぐはぐで、しかも、微妙に女の子っぽい感じがして、本当に楽しかったです。


 リハの終わりから、MASAさんのイイ選曲が始まっていて、そんな感じでくつろぎまくっている間に、開場の時間となりました。私はまだ、洗面所で化粧の最中でしたが、気にしないので開けて貰う事にしました。化粧が終わって、フロアに行くと、アレ?と思う程、既にお客さんは入っていて、急遽奥から椅子を追加して出して貰う事になりました。

 少しだけ押して、西代彩ちゃん。楽屋で確認をしているうちに、ステージが始まってしまい、楽しみにしていたMCが良く聞こえなかったんですが、友達が何人も「ファンクラブに入った」と言ってましたので、やっぱり独特のペースを保った、あやや節が炸裂していたんでしょう。VTRを見るのが楽しみ。

 クロノズ。映画でしかパフォーマンスを見た事がなかったので、実際に目の前でのパフォーマンスには迫力がありました。こういう重みのあるパフォーマンスが出来るアーティストと言うのは、本当に尊敬してしまいます。随所に、観客を楽しませる遊びが入りながらも、ビシッと筋の通ったコンセプトと身体表現。7人のダンサーと混沌となる所が私は一番好きでした。

 タニシKちゃん。本番直前の彼女を見るのが、本当に好きです。今回も案の定もの凄い緊張していて、楽屋に見に行くと「私の出番はまだですか?! 緊張で耐えられない!」と叫ぶので、5分巻いて始まりました(笑)。今回は、初の試み“エアウェイ・クイズ”。前の方には、タニシKファンや、美術関係者が多く陣取っていたので、想像以上に盛り上がってました。良かった。勝ち抜いた人に、パスポートを渡していたけど、あれは何のパスポートだったのかな。後で見せて貰おうと思って忘れました。

 コンタキンテさん。今回は、3つのネタを披露して貰いました。「コンビニおばさん」:「ハイ。集合〜」って言う所が私は好きです。本当に目の前にいたらウザいけど。やる度に太って腰の悪そうな女性の動きに磨きがかかっています。「面接男」:青い部屋で、コンタさんが脱いだらさぞかし素敵だろうな、と思ったので無理にお願いしたネタです。顔がずっと超真面目で、首から下が別人って所が本当に面白いのです。「チンチン電車」:会場全体にまんべんなくスポットが当たって、お客さんを引っかき回して、本当に大爆笑でした。ホント。凄かったです。

 順番的には、「コンビニおばさん」の後に、ホモンズの特別企画ユニット「梅コンジ」が入り、「面接男」、ホモンズ、「チンチン電車」でした。楽屋に入ると、真っ白い全身タイツに赤い飾りを付けたホモンズが、衣装について言い合っていました。私が入ると、ペナがムッとしながら訊いてきました。

「ねぇ。ヤスノッチ。この青いブリーフどう思う? ちょっとやり過ぎじゃない?」
「えー。これ、ホモンズ・オリジナルブリーフなんだよ。それに、この青に合わせて、顔にも青を入れたのに」
「こんなの。青だなんて分からない青じゃん! 全然効いてないよ!」
「うーん。ブリーフは確かに(出た)お腹を強調してて太って見えるわよ(ペナッチは、太って見られたい)」
「お前のセンスは絶対に変なんだよ!」
「人の事言えるのかよー。絶対、その方が良いって!」

 言い合いが激しくなって、私が取り残されていたら、コンタさんが「くっだらない……。でも、この仲の悪さが名コンビの印なんですよ」と教えてました。そうなのか……。大変です。

 ショックで途中退場をしてしまった方も出たという、エイズシンポジウムで性病を表現したというユニット「もう二度とやらない」梅コンジ。……確かに、そんなに頻繁にはやらない方が良いと思う。可笑しかったけど。

 自分達の準備でホモンズは、見られなかったけど、結構笑っている声が楽屋まで聞こえてきて良かったです。後で聞いたんですけど、「10周年記念ライヴ」とか言っていたんですって? 10周年記念ライヴはホモンズで別に企画してよ。そして呼んで下さい。


 我々、ジュモー・オプセーヌ。ホモンズが予想以上に押しまくった為、MCの時間が大幅に削られる事になりました。まぁ、「康乃には多くを話させるな」と毎度、何処でも言われる事なので、今回の様に仕切りで絶対に話さなければならない場合ですから、時間は無くて良かったのかも知れません。

 ジュモーが今回歌ったのは、「新曲(タイトル未定)」「Physical」「ジャンニヴェルサーチ暗殺」「SWEETS」「普通の恋」でした。ペンギンが出るので、踊りやすい曲ばかりをチョイスしてみました。結構乗ってくれてる人が沢山いて嬉しかったです。MCは、抑制が利かない状態になっていたので、素のまんまでしたが、歌を歌っている間は、ちゃんとJUMEAUX OBSCENES 康乃である事を心がけました。人には伝わらなかったかも知れませんが……。


 自分で企画しておいて、自画自賛の極みですが、本当に素晴らしい夜になったと思います。感動して、途中で泣いてしまいそうになりましたよ。本当に。笑っても泣きそうになりましたけど。

 それから、前にも後にも言われましたが、「前座が豪華すぎる」との説。前座って言う感覚は無かったんですが、出演時間はほぼ同じとはいえ、最後に歌うのですから、そうですよねぇ。本当にすみません。でも、今回は仕方ないんですよ。自分的に。


 片付けをして収支を伺い、領収書を書いている間に(チャージバックが出たのです)、「本当に何と表現して良いか分からない不思議なイヴェントでしたけど、面白くて筋が通ってました。また、やって下さい」と会場の担当の人にも言って頂けました。良かった。……でも、また企画をやるかどうかは、MCでも言いましたが、そう確率は高くないと思いますが……。0では無いと思いますけど。


 この日の事は、また後で思い出しては書き足すかも知れません。あぁ、写真とVTRを後で見るのが楽しみ!