「第9地区」"District 9" 2009年 アメリカ

"第9地区"公式サイト
 衝撃を受けた…まさかこんなアプローチがあったなんて!「インデペンデンス・デイ」「28日後」「シティ・オブ・ゴッド」「ハエ男(または鉄男)」「ターミネーター」…いろんな映画が頭をよぎる。これまでのアイデアを密集させてみたことのない方向にガラガラポンしたら生まれたっていう映画だ!最高に面白い。
 かなりグロいシーンが多いので心臓の弱い人は見ない方がいい。簡単に人ははじけ飛ぶし、エイリアンもお世辞にも可愛いとは言えない(といいつつ、見慣れてくると可愛げもあるのだが)。でも多少でも興味がわいたなら観るべし!後悔はさせない。


 あらすじ
 ヨハネスブルグ(またこの設定がいい)に突如として現れた宇宙船。しかし壊れているのか全く動かず、中にいた数十万のエイリアンを宇宙船の近辺に住まわせたまま20年がすぎた。エイリアンは180万にまで増え、治安は悪化し、住民の不満は爆発しそうだった。
 MNU(Multi-National United)に所属するヴィカスは、増え過ぎ、危険な存在になってしまったエイリアンたちを、住民から遠く離れた新しい地区(第10地区)へ輸送するために、第9地区でエイリアンたちと交渉することになった。
 あるエイリアンの住居に入ったところ、不思議な液体が体にかかったしまった。その結果、ヴィカスは世界中から追われる事になり…
 <ここからネタバレの可能性あり!!>
 もう、ネタとマジが同居して何も言えない。エビがキャットフードが大好きで、液体を被ったヴィカスはエイリアンになりつつある時にイカスミを吐き、エイリアン相手の売春婦が出てくる。いくらエビに似ているからってイカスミを吐かなくても(笑) 大体スラム街に住んでいるエイリアン相手に売春ってどこで金を稼ぐんだよとか、高度な科学技術を持っているのに、1万缶の要求に対して100缶で手打ちしたりとか頭悪すぎるだろとか、名前がクリストファーとかもう笑うところが多すぎる。
 しかし、そんなネタに対して話自体はものすごくシリアスだ。人では無いと見なされることで、ヴィカスは虫けらのように殺されかける。エイリアンだから当たり前のように思うが、例えば人だって未開人を見つけた大航海時代であれば同じように簡単に殺したのだ。人とはそういう存在なのだと思わせられる。
 気持ち悪いと思っていたエイリアンだが、クリストファーの息子を見ていると可愛げがあることに気付く。基本的にエイリアンは見た目こそあれだが、行動自体はとても可愛い。
 ただ、意外にラストが放ったらかしだったのが残念。3年後にどうなったのかを見たかった。彼らは仲間を引き連れて報復に来るのか、それとも友好的にやってくるのか。ヴィカスはもとに戻してもらえるのか。果たして人を信じられなくなったヴィカスは人に戻りたいのか。そもそも人の心が残っているのか…まぁそういう想像を楽しめるんだから放ったらかしでも良かったのかもしれない。