大和但馬屋日記

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出勤日。仕事だけして帰るのも癪なので「ガールズ&パンツァー劇場版」を観に行つた。七回目。もうどこで何が起きるのかは知り尽してゐるので、流れのままに感情を起伏させながら観てゐられる。ションボリしながら「はい」と唱和するエリカが可愛い。
今回のテーマとしては上手下手を意識しながら戦車戦を晀めた。序盤のゴルフ場では攻め手は下手、守り手は上手で徹底してゐる。フェアウェイ上で下手のダージリンのフラッグ車に向けて攻め寄せてゐた大洗がカメラ転換で上手に逃走、上手から狭撃を防ぐべく守つてゐた防衛線組も同じく反転して上手に逃走、そこに颯爽と登場するプラウダ勢。何度観ても格好良くて泣ける。そこから先、追ふ者と追はれる者の位置取りは大洗町の地理に左右されながらも水族館まで基本的には変らない。
終盤の中央広場でのセンチュリオンとみほまほの立位置も巧みなカット割りとカメラワークによつて目まぐるしく変化してゐる様に見せつつも自ら決めた法則を決して無造作に破つてゐない。上手からのまほが放つたティーガーの一撃、大洗連合の持つ最強の砲を無情に弾いて上手に転じた愛里寿のセンチュリオンは、以後最後まで上手の座を譲らずにみほまほを翻弄するのだ。
誰かが言つた「女の子の見分けがつかない」「戦車が判らない」といふのは実際さうだとして、それでも戦況が何となくでも呑み込めるのはさういふところをキチンと考へてあるからで、紛れもなく高度な画面設計の賜物である。これが映像の力だ。台詞も説明もなく、ほぼ無言で進行する「最後の五分間」を支へる映像の法則には学ぶべき点が多いと思ふ。ガルパンはいいぞ