BLACK BROOD BROTHERS S 5

権力の絶頂からドン底生活に墜落したミミコ達は、初心にかえって人間と吸血鬼の調停屋を始めることにしたが、街の便利屋としていいように使われ――屋根があるのは幸せ日常コメディ。
ラッキーチャンス!』(有沢まみず) *2ではテント、『いぬかみっ!』(有沢まみず) *3では橋の下、そして本作のビルの屋上の小屋、家を追い出された異能者のシチュエーションでは、「やっぱり金がないと困る」という価値観と「金がすべてじゃない」という価値観が激しく衝突します。
何のために仕事をするのか、食っていくためなのか、それとも――というテーマは、たとえば、南の島のベーシックインカム制を描く『サウスバウンド』(奥田英朗)の下巻*4や『エンデの島』(高任和夫) *5あたりと共通するかも。
都会生活ですっかり性根が汚れてしまっているせいか、人間だけが営む共同生活モノはどこか嘘臭く感じちゃうんですが、常人とは違う価値観を持つ存在が自然にそこにいる設定だと、納得させられてしまう。こんなところにも、このジャンルの可能性があるんじゃないか、なんて思います。お薦め。

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