TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 『幽閉者』を観る

足立正生監督『幽閉者』を渋谷ユーロスペースで観てまいりました。若い客がほとんどいませんでした。というか客があまりいませんでした*1


この映画はエンターテインメント映画ではありません。かなり地味で重い内容で、監督の経歴など、予備知識がないと厳しい内容・ストーリーです。(ストーリー詳細など詳しくはHPをご参照ください)
で、予備知識がなかった私は「幽閉されている主人公が狂ってゆく」という過程に着目して観てゆくことになりました。演出の端々が「狂気の表現」「主人公の妄想の産物」なのか「お金がなくて…」なのか、もしくは「監督が天然」なのか、判別しがたいところが多々ありました。特に主人公の妄想の中で過去の偉大なる革命家たち?が出てくるところ。普通に日本語喋ってる点はOKとしても、どう見ても日本人なのですが、これは妄想だからなのか?見ているこっちが妄想なのか現実なのか判別つかなくなってきました。

しかし、自分ではなかなか観に行かないようなジャンルの映画なのでおもしろかったです。はい。

*1:行ったのは公開2週目・日曜のまっ昼間でした

 根こそぎフランケン

押川雲太朗 竹書房(1994.12〜2000.12 近代麻雀系列の雑誌に連載)
全8巻

┃あらすじ
小博打で糊口を凌ぐ竹井は、バカヅキの男・フランケンと出会う。その天衣無縫な打筋と人柄に翻弄されながらも、自分を慕ってくるフランケンとともに竹井は街を転々としていた。あるとき竹井は、かつて自分をハメた江藤という男と再会する。江藤は、カジノバー「レネゲ」の店主だった竹井を彼の部下・田村と組んで破滅させていた。竹井はフランケンとともに、かつての自分の店・レネゲで開催される、江藤主催の麻雀大会に参加する。




今までにここで読んできた中で、一番博打寄りの漫画。
博打(へのスタンス)を巡る、登場人物たちの個性がおもしろいです。この漫画の登場人物で、麻雀に命や人生を賭けている人物はひとりもいません。ただ、すべての主要登場人物が博打にすべてを賭けています。



私が一番おもしろいと思ったのはレネゲ編*1
屈折していて、レネゲの頃も今も、いろいろなことに対して諦めてしまったほうが楽なことを知っている竹井が、純真なフランケンに打たれて、真剣に勝負をすることを決意するところには心を打たれました。
竹井が終盤、真剣な勝負をするようになったとき、純粋なフランケンを逆に妬む(?)ようになるところもよかったです。私は、竹井ははじめから、真剣な勝負をしたいと、そう心の中で望んでいたように思います。はじめから「博打は勝負である」と思っているにも関わらず、そこそこの金を得る為に博打をしているんだ、と自分を説得していたのに、フランケンに出会って、博打を勝負としてやっていきたいと思い、実際そうなっていったんだけど、やはり純粋に勝負に徹しきれない(もしくはそれを今迄避けてきたが故その苦痛に耐えられるかが不安な)自分がいて、純粋なフランケンを見ているとそういう自分の汚れた面を直視しなくてはならなくなった。それで「おまえがきらいだ」と言う。それは本心ではあるけど本心ではない。多分竹井が嫌いなのは、フランケンを見てその純粋さに嫉妬している自分だと思うんですね。
で、そうやっていろいろあった竹井が、最後、2sをポンしなかったところがよかったな…。竹井があそこでポンしていれば麻雀での勝ちは確定。しかし、ポンしなければ勝負はどっちに転ぶかわからない。むしろフランケンがツモることを信じて、ハイテイを回してあげているように思える。
竹井はなんだかんだ言って、あらゆる登場人物の中で一番、希望や奇跡の存在を信じていて、夢見ていて、ロマンチックな人なんですね…。麻雀の勝ち負けと勝負の勝ち負けは関係がなく、最終的に長期的に見て金を得られる者が賢明である、ということがわかっていたとしても、それでもまだ夢を見たいと思っているところが。フランケン自身はそうではない。ある意味竹井よりもシビア。それは本心から勝負に徹しているから。



竹井と田村の関係もおもしろいです。田村は若い男の子っぽくて好き*2。ここで今迄に読んできた漫画にはあまりいないタイプでしょうか…。自分の中の「竹井をぎゃふんと言わせたい」*3という感情にバカ正直で、本当によいと思います*4。それにしても田村は本当にこけしみたいな顔してますね。トラ柄のタンクトップを着てきたときは死ぬほどおもしろかった。



ほかにもワニ蔵や江藤もいいですね。大好きです。この漫画はとてもいい意味でのキャラマンガだと思います。千夏は話の要点にいるわりに、この漫画の核心自体にはあまり関わっていませんね。



まーそれにつけても絵がアレですが。



というわけでいろいろと曲解しているような気がしますが、以上、私の『根こそぎフランケン』への感想です。竹井を褒めちぎってみました。2〜3巻を先に読んでから通しで読んだので、かなり歪んだ読み方になっていると思います。
まあ、私は博打は一切やらないんで、結局のところ、この漫画の真髄はわかんないですけどね。

*1:というか、はじめは何故か2〜3巻だけ持っていて、それだけを一生懸命読んでいたので、印象に強く残っているというのもありますが…

*2:というかあんなにマイナス方向に一途な若い子はいやだが

*3:若い子はぎゃふんとは言わないか…

*4:田村をカワイイと思えるかどうかは、自分の年令があがってきた事もあると思う…。とは言っても私と田村は同世代っぽいが。

 近代麻雀オリジナル 3月号

┃雀賢者ポッチカリロ
千曲ってこんな顔でした?てというか愚人って?いつの間にこんなテーマになったの?この漫画?


読み切りがものすごいド直球でびっくりしました。でも3人家族で1ヶ月の食費24,000円っていうのは本当にすばらしい努力だと思います。『JB』のとんまな絵には、なぜだか心惹かれます。

 今週の天牌 これだけはいわせてください

津神さんは、盲牌でいうと、「白」だなぁと思いました。


☆その他のゴラク連載漫画☆
今日からヒットマン
ゴラクに載っている漫画で一番のお気に入りなのですが*1、あまり話が頭に入っていないせいか、今回のターゲット(ウルフ)がなぜずっと全裸なのか、ここしばらく考えていたんですが、結局よくわかりませんでした。女の子がカワイイからどうでもいいですけど。

*1:女の子がカワイイから

 私の…王子様!!*1

若い愛人がいるから女性的目線も持ち合わせてるけど、実はネカマで40代のおっさんでした!…と言われるような私ですが、今日はカワイイ日記を書ききたいと思います。独断と偏見で私が胸キュンだと思った、困った顔の登場人物を挙げていくだけの身も蓋もないリストを発表します。


トキメキトイメンイケメンリスト(麻雀漫画で)


┃竹ちゃん (竹井)
『根こそぎフランケン』『ダイナマイトダンディ』 押川雲太朗
というか押川漫画には困った顔の人ばかり出てきますが、中でも竹ちゃんは本当にかっこいいと思います。全部がカッコイイ。ちなみに吉岡(リスキーエッジ)も田村みたいなカワイイ性格をしていれば得点は高いはずです。


┃中釜さん (中釜清蔵)
天牌』 来賀友志+嶺岸信明
常に人のことを考えすぎて、ひとりで勝手に困っていらっしゃるところがいいと思います。やはり守るものがある人は天牌世界では頂点に上り詰めることはできないのでしょうか。守るものとか言っても奥寺さんみたいに妻子ではなく、波城組ですが…。


┃哲
『凌ぎの哲』 阿佐田哲也+原恵一郎
うわ〜駄目そう…、というだけならよいが、本当に駄目なところがすばらしい。


┃阿修羅像 (奈良 興福寺・蔵)
国宝 乾漆造 彩色 奈良時代 像高153.4cm
困った顔のイケメンといえばこの人。日本仏教美術困った顔界の至宝。