甘えによる自壊

農家切り捨て論のウソ 小手先の保護政策が日本の農業を“自壊”に導く」より。
気になったところを一部強調して引用。

 マスコミは「零細農家イコール弱者」のような形で描きたがりますが、現実には彼らほど恵まれた人たちはいない。農地の固定資産税が軽減されているうえに、相続税もほとんどかかりません。たとえ“耕作放棄”をしていてもですよ。
 そのうえ、農地を売却すれば大金を手にできる。「田んぼ1枚売って何千万円も儲けた」なんていう話はザラにある。しかも、そうした農地の多くは敗戦後の米国主導の“農地解放”を通じて国からもらったようなものです。濡れ手で粟なんですよ。


(略)


 いいですか、日本の零細農家の大半が兼業農家なんですよ。兼業農家の全所得に占める農業所得がどのぐらいか知っていますか。たった15%程度ですよ。兼業農家の家計収入の大半は、世帯主らが役所や企業などで働いて得る、いわゆる“サラリーマン収入”なんです。だから、本当は彼らのことを兼業農家ではなく、“農地持ちサラリーマン”と呼んだ方がよいのかもしれません。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070919/135317/

兼業農家の存在は知っていたが、農業収入が収入の15%程度しか占めていない事は知らなかった。
そういえば昔、母方の実家では祖父・祖母が自宅で伝統芸能を行い、同居している叔父・叔母は会社勤めをしていた。農家とは違うが、この様に都市部と違って農村部では三世代・四世代家族が当たり前であること、また農耕器具の発展によって昔に比べて労働力の大幅軽減ができる事などから、兼業になることが一般的なのかもしれない。

NBO では、なぜ農家は参院選民主党を支持したのでしょうか。


神門 農家は自民党を試しているのだと思います。あるいは、自民党にプレッシャーをかけていると言ってもよいかもしれません。


 農家が望んでいるのは、小沢さんの所得補償政策のようなチッポケなお金ではありません。彼らが本当に求めているのは公共事業なんです。公共事業で道路などを作ってもらえれば、自分たちの田んぼや畑が高く売れるでしょう。


 ところが、小泉(純一郎)さん以降の自民党政権は公共事業を大幅に削減してきた。農家にとっては、公共事業を通じて農地を高く売る機会がグンと減ってしまったわけです。この状況に農家は不満を持っている。だから、今回の選挙で民主党を勝たせることで自民党に揺さぶりをかけたのです。「自民党さん、このまま公共事業を減らし続けるなら、民主党に付いちゃいますよ」と。


 さすがに、小沢さんはウマイですよ。地元が岩手県ということもあって、その辺の機微をよくわきまえている。自民党から離れる“口実”さえ与えてやれば、農家は確実に動くと踏んだのでしょう。ただ、あからさまに公共事業拡大とは言えないので、格差問題に絡めて戸別所得補償を打ち出したんだと思います。実は、小沢さんにとっては、政策の実現性なんかどうでもいいのではないですか。とにかくブラフでも何でもいいから、自民党と違うことを言えば、それが農家の口実になると考えた。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070919/135317/

自民党に反省を促すために民主党に投票する」と言う考え方は、別に農家に限った事ではない。友人らも同様な理由で前回の参議院選では民主に入れたようだが、基本的には自民党に頑張って欲しいとのこと。まあ参議院選の大敗北を見て「ここまで負けるとは思っていなかった」と愕然としたようだ。

 日本の農業が抱える本質的な問題から目をそらし、このまま小手先の農家保護策にばかり終始していれば、いずれ日本の農業は本当に潰れてしまいます。外圧で潰れるのではありませんよ。農水省とJAと族議員、そして何よりも農家自身が自らの手で潰してしまうのです。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070919/135317/?P=3

農家に限ったことではなく自戒としても考えたい。慢心は敵。