an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

新年

あけましておめでとうございます。
・・・そしてわたくしを含め今日からお仕事だい!という方、お疲れ様でございます。

さて。年末年始は奄美大島をふらふらしておりました。
こんな寒い京都にいられるか、とばかりに出てきたのはよかったのですが、
ご存知のように日本全国大寒気団に見舞われ、この南の島も例外でなく、ブーゲンビリアが咲き乱れているのにダウンジャケットが手放せないというありえない状態。
風光明媚なあやまる岬では、台風並みのものすごい強風にあおられ、声と眉は太いが身体は細い(貧相ともいう)この私、文字通りふらふら・よろよろしておったんでございます。木の葉のように風に翻弄される様は今年の行く末を暗示しているのでありましょーか。フッ・・・望むところだ、かかってこい(笑)。

鹿児島・沖縄近隣の離島というのは、広告屋がさかんに“夢のトロピカルアイランド!”的プロモーションをしておりますが、そんなにおもしろおかしいプレジャーランドのような所では、ない。 若くもなく、さほど裕福でもない人たちが、つつましく、あるいはダラ〜っと暮らしている、さとうきび畑と海が延々広がるだけのな〜んにもない田舎であります、実際。
しかし。長く住んでいながら、貴族的で様式美を重んじる京都の伝統文化にはイマイチ関心が向かない私が、縁もゆかりもない退屈な南の島々に魅了されてやまないのは何故でしょう。
島の文化は、その魅惑的な方言、島唄、独特の信仰が生活に深く、呼吸のように息づいております。何層にも色が分かれるあの南の海の彼方に、ニライ・カナイが、パイパティローマがきっとあるはずと思わせる濃厚な空気が島全体を纏っています。
・・・だから夜はちょっと恐い。


そんな奄美大島で、1人の絵描きに出会いました。その名は田中一村

      

東京藝術大学時代はあの東山魁夷と同期で、将来を有望されておりましたが、あいつぐ身内の不幸や自身の健康問題などがあって、画家としては不遇の一生を送りました。
故郷を捨てて奄美大島に移り住み、島の自然を描いたところなど、ゴーギャンを彷彿とさせますが、繊細で幻想的な作風は、アンリ・ルソーに少し似ていますね。
生涯家族を持たず、誰にも見取られることなく亡くなったそうです。
・・・切ない話です。
   
(2008年1月4日記)