an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

アンダーグラウンド

賞がらみでの上映のタイミングなんかもあるのだろう、話題の新作が目白押しである。あれも観たい、これも観なきゃと身悶えするこの時期に・・・

はりきって旧作を観にいってしまいました。
エミール・クストリッツァ渾身の大作、『アンダーグラウンド


     


戦時下のベオグラードが舞台とのことなので、『戦争広告代理店』を読み、映画『ノー・マンズ・ランド』(←大傑作です!)もぬかりなく鑑賞して予習バッチリで挑んだのだが・・・バルカン情勢に特に詳しくなくて全然大丈夫。だってストーリーめちゃくちゃだから(笑)。
詐欺師まがいの武器商人、元電気工の暴れん坊、情緒不安定な舞台女優、サルが親友の吃音の少年・・・と胡散臭い人たちが続々と登場し地下に潜み、皆で元気よく武器を製造しててんやわんや・・という物語であるが(要約とかムリだし)、まあ一言で言うと「戦争中でありながら、壮大にふざけたことばかりやっている人たちのドタバタ大芝居」という趣なのである。
しかし、この人の映画を観たことがある人は「陽気な音楽と動物たちで満ち満ちたコメディと思いきや、内容はけっこうシビア」ということをご存知かと思う。
本作はとりわけ政治的な要因をストレートに出しており(実際の第二次大戦・ユーゴ紛争記録映像なども多く挿入されます)、笑いと恋と音楽に彩られながらも、登場人物の大半が凄惨な死に方をする。
・・・その死に様へのショックが冷めないうちに、ああ、あのラストの爆発的な歓喜のパーティ・シーンになだれ込むのだ。死んでいるはずの人たちが、笑って踊って抱き合って。すべてかなわなかった夢だ。
・・・ナミダを必死でおさえるためにしばらくスクリーンから視線を動かすことができなかった。クストリッツァ・・・アンタやっぱりすごいわ。


ユーゴスラビア関連作品、すばらしいものばかりです。

ノー・マンズ・ランド [DVD]

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(2011年12月16日記)