進捗報告 新規リプライ報告+アクセス解析結果報告

 今週の進捗を報告する。
 今週は今までの世界に向けたアプローチに対するフィードバックが若干落ち着いた感があるので、活動の重心をフランス語訳の方に移すことにした。
 まだ広い視野に基づいたアプローチのアイデアはいくつかあるのだが、その前に一端今までのアプローチの費用対効果を分析するため、解析ツールで英訳ページに対するアクセスをモニターすることにした。その結果を踏まえ、次の世界に対するアプローチ方法を練り直したいと考えている。
 無論先週に引き続き、今週も世界各国からのリアクションに対する受け答えは行っており、まずその報告から始めよう。

●今週の新規リプライ
 今週の新規リプライは、ノルウェーベルギーであった。
 まず、ノルウェーからのリプライを紹介する。
 スウェーデン等と同じく既に英語に堪能な北欧国なので、現地語翻訳に対する需要はあまりないようであるが、将棋に対して強い興味を持つ人々は歴然と存在しているようだ。

Richard Bjerke氏(ノルウェー人、将棋愛好家)


 山田さん!
 
 メッセージとご提案、有難うございます。
 この書籍をなるべく多くの言葉に翻訳しようとする努力は歓迎します。
 ただ、ノルウェーでは、全国民が翻訳なしで書籍を読めるくらい十分英語に堪能なので、ノルウェー語に翻訳する必要はあまりないかも知れません。
 我々も将棋文化を世界に伝播させる試みが成功することを願っています。
 私も、将棋を私の子供達と何人かの生徒達に教えることを予定しています。その際に本書の原稿を使えたらと考えてます。また我々の将棋クラブのメンバーにも本書の存在を伝えておきます。
 その他、我々に質問等ありましたら、お気軽にご連絡ください。
 
 敬具

 御礼の返信と今後も情報交換を続けたいという旨のメールを交換した。今後とも各種情報提供、情報交換をアレンジしていきたい。

 次にベルギーからのリプライを紹介する。
 しかし、このリプライは東京にあるベルギー大使館職員の方からの返事である。

Frédéric Verheyden氏(ベルギー人、駐日大使館員、将棋愛好家)


 山田様


 メールによるご連絡有難うございました。私は三級の将棋初心者でありまして、この本は極めて興味深いものでございます。特にパリでの対局についての考察は非常に興味深いものでした。
 翻訳プロジェクトについてですが、確かに私はフランス語についてはネイティブですが、私より適切な人材が多くいると思われます。
 しかしながら、私はこのプロジェクトの進捗について常に情報を得ることを希望しております。というのも、我々日本人でない人々は、将棋に関する情報を入手するのは容易ではないからです。


 敬具

 返信は御礼に合わせて、今後の進展に関する情報提供を約束した。またその後の情報交換の中で、ベルギーで話されているもう一つの言語、オランダ語への翻訳を考えるなら、2008年11月に行われた将棋フェスティバルのベルギー人参加者を探すようにアドバイスを受けた。

●先週以前からの情報交換の進捗

 先週にリプライを受けたLeon Wooldridge氏(ハンガリー人、将棋愛好家)とは引き続き情報交換を行っている。氏からは、プロジェクト運営方法についても示唆を受けている。翻訳に関しても前向きに考えてもらっている。

 また海外将棋愛好家同士の人的関係構築も始まっている。
 フランス人のFabien Osmont氏(*1)より、スペイン人のEfren Rubioと個人的に情報交換をしたいとの要請を受け、私が中間に入ってアレンジを行っている。日本の伝統文化を通じてヨーロッパの隣国同士の新しい交流が始まるのは面白い。

●英訳公開サイト(Yoshiharu Habu and Modern Shogi / FrontPage)に対するアクセス分布解析

 先週25日より英訳公開サイトにアクセス解析ツール(Google Analytics等)が設置され、プロジェクトメンバーは当サイトに対するアクセス情報を入手可能になった。
 特に英語圏以外全世界に対してアプローチしている私にとっては、世界のどの国からアクセスがあったかは興味深い。
 さて、まず全体についてだが、5月25日(月)から5月30日(土)までの間、新規セッション244件ページビュー1041件であった。大まかに換言すると、新しく来訪した244人が1041回クリックしたと言えるだろうか。1日あたり新たに40人がおよそ173回クリックしていると考えると、爆発的ではないが、着実にアクセス数が伸びていると言えるだろう。
 そして、下記がそのアクセスの国別分布を示す表だ。

 日本アメリが圧倒的に1位、2位であることは当然として、その他の順位は面白い順位になっている*2
 まず第3位がポーランドである。これは当ブログでも度々登場するAdrian Woloszyn氏がポーランド語訳に向けて奮闘している姿が思い浮かぶ。しかも都市別解析でも、以前はポーランドからのアクセスは、ワルシャワからに集中していたが、今は地方都市にも分散している。もしかすると、氏が国内の他者に協力を募るか、または、国内出版社へのアプローチを開始しているのかもしれない。
 一方、私が直接担当し初期コンタクトが一通り終了しているフランス(7位)を抑えて、ドイツが4位になっている。ドイツに対しては、大使館を初め、将棋協会や、愛好家個人にメールを送付していたが、その効果が今になって現れたのだろうか(メールの返信はない)。それとも将棋愛好家間のグループメール経由でサイトの存在を知ったのだろうか、それは謎である(一方ブラジルは当該グループメール経由のアクセスの可能性が高い)。
 また、英語圏は何もアプローチいないにも関わらず、英国(6位)はともかくニュージーランド(5位)が上位に来ているのも謎だ。あくまでも仮説だが、これはニュージーランドに「隠れ」将棋愛好家がいるという指標の可能性がある。
 その他英語圏以外の国々についてだが、このブログでも紹介した私のメールに対してリプライをしてくれた国々は漏れなくランキングしている。私のアプローチ開始からアクセス解析ツール設置まで8日くらいインターバルがあるので、実際はこれらの国はもっと上位であろう。
 また韓国(16位)についてだが、セッション数は2回だが、ページビューがその9倍の18回というところを見ると、Sasaさんとその友人達がプロジェクトの準備に頑張ってくれているのだろうか、と想像してしまう。
 同じくロシア(24位)も1人の将棋愛好家がじっくり数ページに目を通してくれたかのような形跡がある。

 一方、私個人で好奇心を感じた国は、マルタ(20位)、サウジアラビア(25位)、ベラルーシ(17位)である。
 マルタには共和国政府に直接メールを送付したのだが、恐らく関係者が私のメールを読んで、URLをクリックしてくれたのだ。日本の将棋に一瞬でも興味を抱き、地中海の真ん中からアクションを起こしてくれたことを想像するだけでも胸が躍る。
 サウジアラビアについてだが、私は駐日大使館にしかメールを送付していない。ということは、考えられるのは駐日大使館員から本国にメールが転送され、本国関係者が見てくれたのかもしれない。実は私は、自分のメール上の表現の一つが、解釈次第で、偶像崇拝を禁止し、厳格な一神教を信仰する国の人々の心情に、若干不快感を引き起こす可能性がある、と懸念していた。よって、その心情少しだけ和らいだ。アラブ世界に関しても引き続きアプローチを行いたいと考えている。
 ベラルーシは、東欧諸国で唯一国内に将棋協会があり、将棋の愛好家の存在もネット上で確認できた。また個人的に同国出身の知り合いもいたりと、当初はプロジェクト提案先として優先順位が高かったのだが、私のアプローチに対する何のリプライもなかった。しかしこの度解析ツールにより、同国からのアクセスが確認できた。ベラルーシハンガリー等同様、引き続き提案先候補国として優先順位は上位だ。

以上

*1:Fabien Osmont氏についてはネット上で情報を発見した。ご参照いただきたい。ページが見つかりません - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト

*2:特に日本については25日の産経新聞朝刊(http://sankei.jp.msn.com/economy/it/090525/its0905250317000-n1.htm)の影響で新規セッションが飛躍している。