黄金色のまゆ玉


   黄金色のまゆ玉2


「うす暗くて、だれだかわからんわ」
「歩いているのだから、湖へ落ちた
わけでもあるまい」
「まったく、人さわがせな人だのぅ」



「おお、寒い! かぜをひくぞ。
早く家に帰ろう」
そういって、人々は家の中へ入りま
した。



次の朝。
「なんだ、これは・・・?」
「すごい割れ目だね」
湖をみた人々は、びっくり。
湖の氷が割れていたのです。



氷がせりあがり、いくえにもかさ
なりあっています。
大きな山は、こどもの背丈ほどあ
りました。
小さな山でも、三十センチくらい。
湖の上には、でこぼこした長い氷
の山ができていたのです。


            つづく



     昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090103#p1



信州の諏訪湖には、「おみわたり」
の伝説があります。
「黄金色のまゆ玉」は、おみわたり
の伝説をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。

平成の歌14


花見むと来しユリの木の枯れがれて

   根元に一枝伸び立つ緑



歌などは教へられるべきものにあらずと

   詠まれし先生のみ歌心に沁みぬ



去り難く娘と立つ墓辺に在りし日に

   夫の植ゑたるハナノキの花



梅雨明けて夏の日光の漲る庭

   蝉のぬけ穴日毎増しきぬ