火とぼし山76
いくら明神さまが話しかけても、
きよは何も答えません。
「明神さま。きよは、だいじょう
ぶでしょうか」
手長が心配して聞きました。
「だいじょうぶじゃ。三日もすれ
ば、意識がもどるだろう」
「意識がもどれば、おぼれた時の
ことを思い出すのでしょうか」
「さあ、それはわからん。
ちゃんと記憶がもどるといいのだが」
明神さまが、心配していいました。
「手長、足長。今日はご苦労じゃ
った。
家にもどって、ゆっくりお休み。
きよのことは、心配するな。
後は、わしが世話をするから」
「じゃあ、明神さま、よろしくお
願いします」
手長と足長は、家へ帰りました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100524#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。