A way of thinking

筆者個人の思考過程です。意見には個人差があります。

Iwasaki Y, Cadmus P and Clements WH (accepted) Comparison of different predictors of exposure for modeling impacts of metal mixtures on macroinvertebrates in stream microcosms. Aquatic Toxicology.

コロラド州立大にいって,まずやったデータ解析がAquatic Toxicolgyにアクセプトされました。今までの論文の中で,これが一番スムーズだったんじゃないかくらい,アクセプトまでスムーズでした。
ウィルが過去にやった+金属複合のマイクロコスム実験データを使って,群集指標への影響を説明するには,どの曝露指標が良さそうかと調べたものです。Edのグループが提唱している「フミン酸に吸着する金属の推定量*1を曝露の指標」としては?というのを統計的に検証してみたという感じです。結果は,Edええ仕事したじゃないか,という感じ。査読者にも言われた通り,この仮説を検証するために組まれた実験ではないので,ちょっと物足りない(結果がそこまでクリアではない)というのはありますが,とりあえず,第一歩ですかね*2

追記130226
とりあえず,onlineのリンク先はここです。とりあえず,投稿原稿そのままがのっていますが,PDFの方は文字化けがひどいです。

*1:正確には絶対的な値ではなくて,相対的な値

*2:なによりも,あのウィルと!って感じです。個人的には。感謝です

Loayza-Muro et al. 2013. Persistence of Chironomids in Metal Polluted Andean High Altitude Streams: Does Melanin Play a Role? Environmental Science & Technology 47:601-607.

ユスリカを対象とした,UVとCuの抱き合わせ+メラニンの濃度。メラニンのお話は聞いたことが無かったので,おもしろかった。メラニン濃度のところは,統計的有意差だけじゃなくて,もっと考察してほしかったかも。体内で起こっていることは複雑そうですね。。

Amano, T. and W. J. Sutherland. 2013. Four barriers to the global understanding of biodiversity conservation: wealth, language, geographical location and security. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 280.

生物多様性データベースにおける国別の充実度が何と関連しているかを調べた天野さんの研究。保全生態に載った山道さんの研究みたいな(すくなくともボクにとっては)ちょっと変わった研究。GDPが高いほど,英語をしゃべる人の割合が多いほど,安全のレベルが高いほど,データベースのホストである国に近いほど,データベースにおける単位面積あたりの記録数が多かったとのこと。
hierarchical partitioningという解析は知らなかった。多重共線性(多分,マルチコもどき?)にも対応できるみたいとのこと。うまく仮説立てをしていて要因を絞り込んでいてなるほどなぁと思う一方で,尤もらしい要因をきちんと全部拾えているかとも思いましたが,これが抜けているなんて気の利いたことは浮かびませんでした。いずれの要因もストーリーが作られていて,納得のいく理由付けがつけられているというところが結構ミソな気もする。

Kidd et al. 1995. High concentrations of toxaphene in fishes from a subarctic lake. Science 269:240-242.

ウィルと一緒にニュージーランドでたまたま?サバティカルだったKarenさんの論文。同じような湖で,同じ種でもあっても栄養段階が高い*1ことによって,トキサフェンという殺虫剤の濃度が高くなるという結構きれいなお話。なぜこんなことになるかということについては,著者らは強い漁獲圧のせいではないかと推察している。

*1:安定同位体比調べ

Walters et al. 2008. The dark side of subsidies: Adult stream insects export organic contaminants to riparian predators. Ecological Applications 18:1835-1841.

今はフォートコリンズにあるUSGSTravisと一緒に仕事をしているDavidさんのお仕事。2回くらい会う機会はあったけど,あまり話しかけられなかった。内容としてまぁ考えれば当たり前なんだろうけど,タイトルが秀逸。汚染物質の濃度をみることで,水辺の食物網における河川由来のエネルギーの追跡に使えるんじゃない?と考察したところもおもしろいのかもしれない(不明)。