淑女たちのSex and the city〜第12話〜

yukiguma2008-09-17


レストランで、出てくるはずのお料理が出てこなかったらどうしますか?
文句を言うのが嫌だから黙ってやり過ごし、二度とその店に行かないという人もいるでしょう。
でも、どうしてもその料理が食べたければ、「まだ来てないんだけど…」ってクレームを入れますよね。


さて、その時、お店の人がどんな対応をしてくれたら満足するでしょうか?


ちょっと仕事ができる人なら当然わかっていることですが、ミスが起こりクレームが発生してしまった際に求められているのは、単純な謝罪の言葉ではありません。
「あっ、ごめんなさいすいませんどうしよ…」ってオロオロ突っ立ってるだけのバイトくんに当たったりすると、ますますアタマにきますよね。
いいからなんとかしろYO!って思いますよね。
謝れば謝るほど、お客様の不満がますます募っていくケースです。


では、求められているのは何か。
それは「補償」です。
つまり、即座に料理をつくって持ってくるのは当然のこと、お詫びの気持ちとしてプラス1品などの誠意をみせて、やっと「頭にきたけど、まぁいいでしょう」と納得してもらえるのです。


そしてこの時、お客様の想像を超えるようなとてもハートフルな対応ができれば、逆に「すごくお客を大事にする店ね!」って感動されちゃったりもします。
これが、ビジネス界でいうところの「クレームからの顧客づくり」です。


とまぁ、意味深に長々と前置きをいれたところで、お楽しみの前回の続きにまいりましょう。




さて、素敵なアラフォバースデーがバキュンと終わっちゃいそうな深夜23時30分。
意を決してコパンダちゃんは、のんきなヘタレ坊やに「もうすぐお誕生日が終わっちゃう…」とメールを入れました。


もう忘れてたっていい、という思いでした。
まだ仲良くなって日が浅いし、もしかしたら誕生日を教えたと思っていることさえ乙女の幻想かもしれません。


だから、誕生日だと知って慌てふためいて電話でもかけてきてくれたら、ちょっと拗ねて、「食べきれないくらい大っきいケーキを買ってくれなきゃ許さないからねッ」とかなんとか、ちょっと痛めのかわいいおねだりをして、そこそこで許そうと思ってたんですよ、いやほんとに。


ところがだ。
さすがですねー、ここからがさすがですよ。


なんとヘタレちゃん、12時超えてもメールの返信さえなかったんです!


なんで? いつもなら即レスの時間帯じゃん?
イラッときたコパちゃん、ダメ押しで「あーあ、誕生日終わっちゃった…」とメールを書きました。
このへんちょっと乙女モードが行き過ぎてる気がしますが、まあ、話を続けましょう。
だってそれでも来ない、来なかったんです、反応がなにも!


ムカー……。
コパちゃん、血圧が上がりました。
でも、寝てるのかもしれないし…、あーあ、こんな誕生日初めて…。


恋がうまくいかない時、キャリアウーマンがすがるのは仕事です。
そう、つまらない人にかまけてないで、私は仕事をしなければ。
ちょうど忙しい時期でもあり、コパちゃんは休日の真夜中にも関わらずやおら仕事に取り組み始めました。
頭の中のイライラも、張り裂けそうな胸の痛みも見ないふりして。


でも、なかなかうまくいかない。
誕生日をスルーされるなんて、生まれて初めてのことなのです。
それにこちらから電話をかけてみようにも、相手は彼女と暮らしているのです。


もうなにもかもイヤになりかけたその時、いきなりコパちゃんの携帯がKISS!KISS!KISS!の音色を奏でました。
あっ……! 仕事を放り出し、携帯に飛びつくコパンダちゃん。
この着メロは、ヘタレちゃんからのメールです。


やっときた……。
ドキドキしながら携帯を開くと、そこにはこんな一言が書かれていました。




「ごめん、おとといまで覚えていたのに忘れてしまった。あたし、ダメだ……」




ハァ?
おとといまで覚えていたのに忘れた?
って、どーゆーこと???


てか、メッセージそれだけ???


そりゃもう、カッチーン!ときました。
聞きたいのはそんな言葉じゃないのです。
メールに気づいたらすぐに電話をしてきて、なんとかご機嫌を取ってほしかったのに。


そう、そうよ、私はご機嫌を取ってほしいのよ! 
忘れたから、どうやって挽回するかってことを聞かせてほしいの!!
あたしダメとか、だからなんなの!?!?


完全に頭にきたコパンダちゃん、返信する気もなくして放置しました。
すると、2時間ほどしてまたメールが。
どれどれ、すこしは許してもらう努力ってものが見られるかな……




「ごめんなさい」




って、今度はそれだけかーーーーーーーーッ!!!!(怒×3
謝ればすむと思ってるのかーーーーーーーーッ!!!!(怒×5


てゆうか、そんなふうに謝られたって、こっちだってどうしていいかわかんないですよね。
「いいよ、気にしないで」「そんなに落ち込まないで」とか言ってあげたらいいわけ?
そんなふうにヨシヨシって面倒をみてあげなきゃいけないわけ?
彼女と二股かけられてるうえに、誕生日まで忘れられたコパンダが?


まぁこれは怒りますよね。
誕生日を忘れたってだけでも腹がたつのに、フォローもしてくれないなんて。
つねに最悪の想像の下を行くヘタレクオリティ、完璧です。


さすがのコパンダちゃんも、ぜってー許さねぇ無視してやるシカトしてやると歯ぎしりしたらしいのですが、そこが見習いとはいえ観音ですね。
じりじりと眠れぬ夜を過ごし、夜が白々とあけてきた頃、観音はまたもヘタレに救いの手を差し伸べてしまうのです。


「私は、電話がほしかったよ。お誕生日おめでとうって言ってほしかった」


そうです。ヘタレちゃんったら、この段階でおたおめも言ってない有様なのです。
ああ、なんてかわいそうなコパンダちゃん。
なのにこんなけなげなメールを送っちゃって、自分で自分を褒めてあげたいというか、好きすぎて馬〜鹿みたい♪


という気持ちになりつつ、さぁ今度こそ電話がくるぞと、発声練習をして待っていたのであります。
よくわかりませんが、最近しばらくしゃべらないでいていきなりしゃべると声がかすれちゃうんだそうです。アラフォの謎です。


が!


来ない、電話が来ない!待てど暮らせど来ない!


なんで?! 
私がチョー怒ってるのわかってるのにまさか寝てるわけ!?


コパちゃん、もうどうしてくれようかと都会の片隅でワナワナ震えちゃいましたが、なにしろこっちから電話をかけるわけには以下省略。
携帯をソファに叩きつけ、マジ怒り心頭でベッドにもぐりこみ、ひとり悶々と朝を迎えるはめになったのでした。




さて、ヘタレちゃんから電話があったのは次の日のお昼です。
涙ながらにやっと寝つけたコパンダちゃん、まさにノンレム睡眠の真っ最中でした。


( コ 。パ)<……もぉし、もぉ…ーし… ←かすれてるw
(; ヘタ◇レ)<あの、ごめんなさいほんとごめんなさいごめんなさいッ……
( コ 。パ)<…あ、おはよぉ〜……


まだ覚醒しきらない頭に、いきなり降り注がれる謝罪の機関銃。
そして寝る前まであんなに怒っていたのに、寝起きのせいでつい普通の対応をしてしまうコパンダちゃんw


( コ 。パ)<えーと…、あー…、昨日なんで電話くれなかったのぉ〜…?
(; ヘタ◇レ)<あの、あまりのダメさに落ち込んでたらいつの間にか寝てしまってッ… ←w
( コ 。パ)<……そぉ〜。悲しかったよぉ〜…?
(; ヘタ◇レ)<ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……
( コ 。パ)<誕生日、やっぱ忘れてたんだねぇ。
(; ヘタ◇レ)<いやっ、おとといまでは覚えてて0時きっかりにメール送ろうと思ってて……
( コ 。パ)<でも忘れたんだ、なんで?
(; ヘタ◇レ)<ほんとダメなんですあたしほんとダメなんですよあたしが悪いんです……
( コ 。パ)<つまりその程度の気持ちってことかぁ〜。私、あなたの彼女じゃないんだね〜。
(; ヘタ◇レ)<いやあのっ、好きなんですほんとに好きなんです!
( コ 。パ)<ふーん。で?
(; ヘタ◇レ)<ごめんなさいごめんなさいほんともう許してとか言えないんですけど……
( コ 。パ)<だから?
(; ヘタ◇レ)<でも好きなんですほんとなんです好きなんです……
(+コ 。パ)<うん、わかったから、それで?
(; ヘタ◇レ)<あの、ごめんなさいほんと申し訳ないごめんなさい……
(+コ 。パ)<………………。


いやもう、すごいすごいw
私、話を聞いてて笑いが止まら……もとい、気の毒だなあって思いましたねぇ。
だって、ただご機嫌をとってほしいだけですよ、コパンダは。
簡単なことです、レストランがおわびの一品をサービスする程度のことです。
なのにどうしてお腹を空かせたお客を待たせたまま、ごめんなさいごめんなさいと繰り返していて平気なんでしょうか。


第一、彼女は「私、ダメ」「ごめんなさい」「でも好き」しか言ってないですよね。
それってつまり要約すると、こうなります。
あなたが好きだから、ダメな私を許してほしい。
ダメとわかったうえで、この先もつきあってほしい。


( さ 。る)<まったく卑怯な発想ですよね。
( く 。ま)<甘やかしてほしいだけだよね。
(;コ 。パ)<………………。


そもそも、自分で「ダメなんです」っていうのは逃げですよ。
私ってほんとこんなにダメでヘタレで…って並べたてるのは、「それでもいい?」というずうずうしいお願いにほかならない。


なんてね、今日はまだまだ厳しいこと言いますよw


彼女、ものすごく受け身ですよね。
自分からまったく挽回策を提案できない、最悪のレストランみたいなものです。
前の日だってきっと「ヤバい!」ってなってガクブルですぐにメールもできず、なんて言い訳したら許してもらえるかとか姑息に保身のことばかり考えて、コパの気持ちを思いやってフォローするような勇気もやさしさもないメールを送ってしまい、ダメ押しでごめんってゆったのに返信ないからって小リスのようにぶるぶる震えて穴の中からビクビクと状況をうかがっているうちに丸くなって寝てしまい、起きたら「電話ほしかった」ってメールあったからそうかと思ってやっと電話してきて、でもなーんも考えてないからひたすら首を縮めて平身低頭するしかないっていう……


ごめんねコパちゃん、好きな人のことをこんなに悪く書いて。
私、観音じゃないからヘタレが嫌いなの☆
そのくせヘタレとマザコンが寄ってきやすい体質だからあれこれトラウマがあって、こういう話を聞くとマジ猟奇的になっちゃうのよ☆☆☆


いわばドS姉さん発動?
え〜いそこに直れ!まとめてムチ打ちの刑じゃ〜!!!
って、まぁ、そんなことはどうでもいいんですけど。


( く 。ま)<ねぇ、一体ヘタレちゃんのどこが好きなわけ?
(;コ 。パ)<……………。
( さ 。る)<コパはほんと、女の趣味が悪いよねぇ。
(;コ 。パ)<……………。


まずもって気が利かず、次から次へとミスを繰り返し、クレームを入れてもまったく補償する気のないお店をごひいきにしてしまったコパンダちゃん。
ヘタレを愛するってこういうことなの!?


げんなりしつつも、試練のお話はまだまだ続きます。


◇追記◇
画像は淑女連によるコパちゃんおたおめ会のケーキ。
遠くのヘタレより、近くの淑女のほうがよっぽどコパ思いね……。
(こんな暴露ブログ書かれちゃうけどW)