藤原てい『流れる星は生きている』(1949/中公文庫2002)


スクラップブックから。
讀賣新聞2017年8月14日朝刊。
「戦後72年 語り継ぐ 受け継ぐ」
藤原家の戦後引き揚げ物語。



数学者・藤原正彦の母、作家・新田次郎の妻、
藤原ていの著書『流れる星は生きている』を取り上げている。
記事から引用する。


   圧巻は、約1年ののち、
   乳幼児3人を連れて38度線を越える日々だ。
   狂気にも似た意思の力だけで進むてい、
   朝鮮の農家の温情を得て息子たちの命を取り留める場面。
   他の日本人から投げつけられる、
   心を刺す蔑(さげす)みと哀れみ。


   極限にあって人々は、
   生きるためにどんな選択をするのかを、
   飾らずに切り取ったその視点が、
   同様の体験を経た多くの日本人の、
   共感を呼んだ理由だろう。



母の本を語る藤原正彦の言葉を聴いていると、
「ああ、戦争は嫌だなぁ」としみじみ思う。



流れる星は生きている (中公文庫)

流れる星は生きている (中公文庫)

(文中敬称略)