お母さん、息子の背中、どう見えてますか(安藤明子)


スクラップブックから
朝日新聞2018年6月18日夕刊
読者投稿欄「ひととき」
弟の背中 たくましく 
福島県田村市 安藤明子 パート 56歳)


   朝8時半。
   「いってきます」と母の仏壇に向かって手を挙げ、
   障がい者支援事業所へ通い始めて1年になる
   ダウン症の弟。


   零下10度の朝が続き、
   夫に「寒いから休んだら?」と冗談を言われても、
   「行く!!」と言って、
   この地で初めての冬を乗り切った。


   隣県の実家で父と2人暮らしだった弟は、
   父の認知症発症を機に、
   夫の家族に甘えて
   私が引き取ることになった。
   (略)


   今では1人で送迎場所と家を往復し、
   朝は私が時間差で出ても、
   弟の背中にはなかなか近づけない。
   1人では生きていけない弟だけど、
   その背中はたくましく見え、感慨深い。


   父は弟がふびんだと嘆くけれど、
   お母さん、息子の背中、どう見えてますか。



みんなが少しずつ譲り合って
お互いの居場所が確保できる社会は
誰にとっても暮らしやすいだろうな。
安藤さんの投稿を読んで、そう思った。