アカハラゴマダラヒトリ.【写真日記虫】

オオミズアオ

 今日から灯火廻り再始動.ところが昼過ぎから空が暗くなった.夜は一面のガス.霧雨である.風に微かに潮の匂いが混じっている.


 街灯の下にオオミズアオの翅の断片(右上画像).鳥にやられたものか.少し離れた箇所に更に多くの切れ端.前縁の赤はリンゴの皮の色である.


 ★雨の中,ヒトリガ類.

06年5月19日20時.苫小牧市樽前,錦大沼公園.前翅長18mmほど.
 ヒトリガ亜科は腹が赤かったり黄色かったり色鮮やかなものがある.「虫我掲示板」で,「いじめると死んだフリをするので観察しやすい」との情報があったので確認してみたかったのだが,濡れた下草に転げ落ちさせるのも申し訳ない.オオミズアオの残骸を見たばかりということもあって,ここは自重の一手.
 とりあえず「ゴマダラヒトリ」である.腹を見られないとなると「キハラ」か「アカハラ」かという問題が残るのだが,どうやら脚の付け根あたりが赤くなっているのでアカハラゴマダラヒトリでいいと思う.
 この種については『昆虫大図鑑Ⅰ』が詳しい.

触角は♂では両櫛歯状,♀では歯牙状.下唇鬚は黒色.前胸脚の腿節背面・転節・基節及び腹部背面の尾端及び基部を除く部分は赤色.前・後翅の黒紋には非常に変異が多い.…最も普通種.幼虫は雑草を食う.(p.102)

 近似種のキハラゴマダラヒトリの方は,

前種に似ているが,前胸脚の腿節背面・転節・基節及び腹部背面は赤くなく,黄色であることで簡単に区別できる.…又体翅の地色が純白色でなくクリーム色を帯びるものが多い.…各地に普通.…幼虫はクワ・サクラ其の他いろいろな植物を食う.(p.102)

 『蛾類大図鑑』は簡明.レトリックに込められているかもしれないニュアンスを楽しみたい.
 アカハラ

腹部は赤色,翅は白色.前翅の黒点の強弱に変異がある.…全国的にごく普通で….(p.653)

 キハラ:

前種とよく似ているが,腹部が黄色なので区別される.翅も多少黄色をおびることが多い.…平地にごく普通.(p.653)

 学名は"Spilosoma punctarium".「斑点のある体+まだらな」である.赤いことには関心がないらしい.確かに前述のように腹が赤いのはヒトリガでは珍しくはないのだが.ついでに調べたら,ヒトリガ亜科"Arctiinae"は「熊(あるいは大熊座)」からである.
 まあ熊だろう.勝手に訳せば「マダラテンテンクマガ」となる.


 潮を含んだ雨でカメラが錆びるような気がする.早く帰ろう.