風の妖精たち/メアリ・ド・モーガン, 矢川 澄子


風の妖精たち (岩波少年文庫)

風の妖精たち (岩波少年文庫)


図書館の新刊図書に並んでいたので借りてきましたよ。小学生の頃に読んだ覚えがあったのですが、結構内容忘れててビックリしました。童話的な物語が七話収録。




表題作の「風の妖精たち」は妖精に踊りを教えてもらった女の子の物語。この踊りを教えてもらう場面が凄く好きなんです。ただ、小学生の頃の方が想像力がのびのびしてたんだろうなぁ。あの時の想像が眼前に迫ってくることはなかったです。落とし穴はは大量に用意されていても、それにハマらない女の子が素敵。こういう後味の良い…と思いたい童話は素敵です。
「池と木」は、ラブラブもの。もう砂を吐いてもいいですか、の勢いです。木を探す、とのがストーリーで出てくる風たち素敵。連れてってー。ひっそりと仲良くしてもらいたい。
「ナニナの羊」は、この話の中でかなり好きな部類。変な少年に誘われて預けられた羊をどんどん攫われてしまう女の子。しかし、女の子は木に助けられて…。痛い。描写がかなり痛いのですが、木に文句を言わないってのが良いなぁ。映像化してもらいたいなぁ。雰囲気があればゲームでもいいなぁ…。
「ジプシーの杯」。昔読んだ時の記憶だと、ものすっごい暗くて救いようのない話だったと思ったのですが、実はそうではなかった。かなり暗い部分はありますが、終わり方はいい感じ。何よりも起承転結がかなりハッキリしていて、起伏があるのが嬉しい。
「声を失ったオスマル」は、女の子かっこえぇっ。のお話。幼馴染の男の子が声を盗られてしまい、それを取り返そうと奮闘します。頭の良い人に頼んだけど、ダメだからお馬鹿な人へ、という流れは風刺が効いていて素敵。疑いながらも信じるあたり「風の妖精たち」に似ている気も。だから私はこの子が好きなのかも。
「雨の乙女」はしっとり切ない系。ある意味でこの中じゃ異色…なのかな。でも最後の終わり方はきれいですよ。
「農夫と土の精」は、一番記憶に残っていた話。最後は忘れてましたけど。てっきりこの土の精が良いもんだと思い始めて読んで「あれれ」と思った記憶はしっかり残っています。それにしても、この主人公は詐欺師の如く口がうまいなぁ。のる奥様も奥様だけど。強引なるハッピーエンド。だからこそ素敵。
全体的、後味の良い話の詰め合わせ。童話によくある身につまされるのが教訓めいたものがないのも良い。いや、教訓はあるんですがそれが話と混ぜあっているのです。後、描写が分かりやすいのに想像力をかきたててくれます。
いいな。と素直に思えます。ひねくれている時に読んだらどうなるかはわかりませんが…。