保土ヶ谷事件

神奈川県警の「放置死」、県のみ550万賠償命令
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060425i113.htm

 横浜市保土ヶ谷区で1997年7月、事故車の中で倒れていた同市泉区の自営業久保幹郎さん(当時54歳)が保土ヶ谷署員に放置されて死亡し、監察医も司法解剖を行わずに虚偽の検案書を作成したなどとして、妻の佐紀子さん(61)ら遺族4人が神奈川県や監察医らに約1億6200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、横浜地裁であった。

 土屋文昭裁判長は、署員が救護義務を怠り、久保さんを放置したと認め、県にのみ約550万円の支払いを命じた。その他の請求は棄却した。

 一方、解剖された臓器が保存されていることなどから、司法解剖は行われたと認定。臓器片を「別人のもの」としたDNA鑑定については、臓器が薬品内で長期保存され、正確な鑑定が困難だったとして採用しなかった。

 裁判所というのは、何を持ってその道の専門家の意見を否定するのでしょうか。日本のDNA鑑定の第一人者が長い年月を持って行った責任ある鑑定結果を、全くの素人が、「ホルマリンで変成してるからわからなかったんでしょ」として不採用にするという傲慢ぶりはどこから来るのでしょうか。あくまで、その鑑定を認めないのであれば、その鑑定人に匹敵するような専門家による再鑑定によって「DNAが一致した」とか「変成が強く判断は困難だった」という結論を導き出すという手段が必要だと思うのです。もっとも、僕は法律家ではありませんので、僕の法律の知識が乏しいせいで誤解しているのかも知れません。でも、日本の法律が裁判官が気に入らない証拠は採用しなくても良いというものなのであれば、それは法律自体がおかしいのです。
 DNAの鑑定ということ自体を、裁判所が証拠として認めないという一貫した立場であるということであれば、この判断は理解できますが、DNAを決め手にした判決は過去にいくらでも存在するのです。
 保土ヶ谷事件の情報は下記に詳しいようです。
http://www.independence.co.jp/police/hodogaya/
 まあ、報道されている範囲では、明らかに警察も裁判所もおかしいと思います。この件に限らず、何の権限を持って、裁判所は専門家の意見を勝手に無視するのでしょうか。ただでさえこんな無茶苦茶な裁判が横行する中で、今度は肝心の法律に関しても素人である「裁判員制度」を開始すると言います。この国の司法は、一体どこへ向かおうとしているのでしょうか。僕は職業柄、医療裁判に関して興味を持って追いかけていました。しかし、専門性の高い領域の判断を、その領域に関しては素人であるはずの裁判官が、容易に否定できるというのは、別に医療に限ったことではなく、この国の裁判の根本的問題なのではないでしょうか。
 参考として、警察の不祥事を集めたサイトを紹介しておきます。
「日々是不祥事−警察官の犯罪白書オンライン」
http://mentanpin.com/police/
しかし、警察と裁判所がつるんでいるんだとしたら、一般人には勝ち目はないですね。まさに強権。