至仏山

至仏山
 「♪♪夏が来れば思い出す〜」と台風一過にも関わらず、どこからもお誘いが来ない。どうも、「ぜんちと山へ行くな!包囲網」が張り巡らされているような気がしている。まあ、確かに皆さんに迷惑をかけ続けているという自覚はある。家人に言わせば「山、辞めたら!」である。
 そんな逆風の中、ガイドブックをチマチマ見ながら登れそうな山を物色している。今回は至仏山にした。コースタイムは4時間である。登山口は鳩待峠であるが、マイカー規制をしているので、調べていたら週末に集中していることが分かり、月曜日に登頂する計画を立てた。また、なんと駐車料金が2500円といままでで一番高額であった。しかも、暦日とある。暦日とは、0時から24時までで締める方法で、前泊のため前日の夕方に入ると2500円で翌日も2500円と5000円も取られる。そして、多くの登山用有料駐車場ではこういうシステムを採用している。一度、22時に到着して2日分請求されたので文句を言ったことがある。そこは1500円であったが、交渉の結果、2000円で手を打った。どうせ、補助金などで整備しているのだろうに、係員のアルバイト収入に巻き上げられている気がして納得していない。そこで、途中の道の駅でもと考えながら出発した。
 ナビではいつものように「一般道」を選択した。通常、国道を中心にルートを組んでくれるが、今回はR17から県道に外れて、そのまま林道を走り、夕方に到着してしまったのであった。これは困ったことになった。ずっと林道を走ってきたのでコンビニで夕飯と朝食が買えなかった。
 ナビの地図を広域にしてコンビニを探すと1時間ほど下り別ルートを走る。途中にレストランに営業中ののぼり旗で入ったが、本日休業であった。一時間ほど下り、コンビニで朝食のパンを買い、近くのイタリアンレストランでビーフカレーを食べる。そして、幸運なことに、道の駅の看板が出て来た。

 車中泊者が道の駅に望むものはトイレだけである。ここのトイレはホテル以上であり、おまけに湧き水の水場もあった。標高が高いのか、寝苦しさはなくゆっくり眠れた。
 早朝4時に起床し、朝食を済まし鳩待峠へ向かう。

 5時少し前に到着したが、ざっと10台以上が止まっている。空いた場所に駐車して身づくろいをしていると、隣の車の方も準備し出した。そこで、駐車料金の事を話すと、係員は5時から17時までしかいないという。つまり、17時以降入れば駐車料金は取られないという。しかし、不正はいやだなあと思いながら、登山口を教えてもらった。
 尾瀬入り口という看板に従って少し歩く。

 まもなく、りっぱな休息所が見えてくる。

 その前に、至仏山4.5kmの標識がある。

多くの方は、至仏山荘に向かってぐるっと一周されるようだが、自分はピストンと決めていた。天気は曇りであるが、雨雲が張り出しており、3時間ほどかなあと判断していた。

 5時過ぎに登り始める。道は平たんでついスピードを出したくなるが、敢えてセーブしながら歩く。直ぐに、木道が現れる。そして、階段も出る。

 ほとんどが木道と木の階段である。これは、いいと喜んでいた。
 眺望のいい場所に着いたが、この通りである。今にも一雨来そうである。まあ、暑いので雨が降った方が涼しくていいかもと暢気に考えながら歩いていた。急な場所は全くない。

 最初のチェックポイントはオヤマ沢である。確認しようとしたら、地図を車の中に忘れて来たことに気が付く。確か、ここで中間地点であったと思っていたが、確認できない。

 湿原に出た。霧が酷く、視界は100mほどだろうか。

 また、分岐点が出たが確認できない。

 そして、木道が終わったら、岩が出始めた。雲の中に入っているので、風が強かった。風速10m以上はあっと思う。最初は、天然クーラーだと思って、少し寒いのを我慢しながらであったが、遂に我慢しきれず雨具を羽織る。

 かなり、しんどかった。蛇紋岩という岩が多くの登山者のために、研磨されて碁石のようにツルツルになっていたのであった。
 やっと小至仏山に到着した。もう7時近い。だいぶ遅れたようだ。ここから小一時間と記憶していた。

 ここからも尾根沿いを大きな岩をかわしながら歩く。


 ガスで先が見えないので、まだか、まだかと降りて来た方に聞きながらであった。もう数分と言われたが、頂上が見えない。そして、直前に斜めにせり出した頂が見えた。
  登頂である。

 自分は5時に出てきたにも関わらず10人近くいるではないか。まあ、途中で3名ほどに抜かれたが・・・・。
 眺望は無いので、写真を撮ってもらい直ぐに下山する。あのつるつるの岩に雨が降ると滑るだろう。これまでも滑りながらであった。
 慎重にも慎重に下った。しかし、やられた。私は、蛇紋岩で滑り、いやというほど全身を打ち付けてしまったのだ。痛くてイタクてしばらく動けなかった。
 こいつである。

 ホシガラスがいいところにとまった。

 木道まで来た時に、雨が降って来た。そして、雷も鳴った。今日は新しいリュックである。リュックカバーを付け、滑らないように下山する。
 下山である。10時半であった。


 大汗はかかなかったが、アンダーウエアとミドルウエアはずっしりなので、着替えで帰路に着く。ナビは来た道とは違う国道の道を誘導してくれた。
 あまり食欲はなかったが、やはりラーメンを食べた。

 なんとか、明るいうちに帰って来れて良かった。いい道であったはずが、足が痛い。