こんにちは、久しぶりの記事投稿になりました。今回は、表現からみたテーマに立ち返り、句読点の使い方がちょっと特徴的な二作品を取り上げたいと思います。句読点は意味の区切りや文の終わりをわかりやすく示す役割だけでなく、文章全体のリズムを左右するものだと思います。句読点の特徴によって、文章の持つ音楽性が変わってくることを感じながら、読み進めていきます。 まず一冊目に紹介するのは谷崎潤一郎の『春琴抄』。この小説は、盲目の三味線奏者・春琴と、彼女の弟子でもあり身の回りの世話をする丁稚の佐助の奇怪な愛の形をを描いた作品なのですが、極端に句読点を省いてある点でも特徴的です。文章を読みやすくする役割の読点「、」…