フランチェスカは期待に胸を震わせながら食卓を整えた。鴨の焼ける香ばしいにおい、クリスタルの鉢には真紅のばら。夫はここ数年、たまにしか家に戻ってこないけれど、今夜ばかりは必ず帰ると約束してくれた。そう、今日は十回目の結婚記念日。夫とゆっくり話をして、二人の絆を確かめよう。だが、やがて電話のベルが鳴り響き、彼は帰れなくなったと、夫の秘書があざけるような口調で告げる。打ちのめされたフランチェスカは、衝動的に家を飛びだした。 夫であるヒーローに尽くしてきた妻のヒロイン。 8歳の息子が寄宿舎に入ってしまい寂しい思いをしています。そして仕事が忙しくてあまり帰ってこないヒーローに結婚十年目にして怒りが爆発、…