実質的な世界大戦となった七年戦争が終結を見て間もない1763年6月9日、レオポルトは7歳のヴォルフガングと姉ナンネルの楽才を広く世に知らしめようとの目的を胸に抱いて、一家揃ってのいわゆる「西方への大旅行」に出発し、ミュンヘン・フランクフルト・アントワープ・ブリュッセルを経て、同年11月19日、パリへと足を踏み入れました。 mozart-cafe.hatenablog.com フランスを大国たらしめた絶対王政の内包するさまざまな矛盾や歪みが七年戦争に破れたこともあって顕在化すると同時に、新興ブルジョワ階級に代表される市民の権利意識の高揚により、社会的不安が疼き始めていたとはいえ、当時のパリは、文…