これまでにも何度かご紹介したように、ヴォルフガングと姉ナンネルの楽才を広く世に知らしめるべく、1763年6月9日、レオポルトは一家を引き連れて「西方への大旅行」に出発します。 そして第一の主要目的地たるパリへ同年11月19日に足を踏み入れて五ヶ月ほどそこに滞在した後、1764年4月10日にこの地を一旦去ってロンドンへと向かいました。 当時のロンドンは既にパリと並ぶ世界の中心都市として名高く、またその後もほとんど絶えることなく同じ地位を占め続けて現在に至っていることはご存じの通りですが、たとえばその頃の主な都市のおおよその推定人口を挙げると、清朝の北京が100万人、ロンドンと日本の江戸がそれぞれ…