マイトトキシンはシガテラ食中毒の原因物質のひとつで非常に強い神経毒.有毒渦鞭毛藻の Gambierdiscus toxicus が生合成し,魚類に蓄積される. 細胞膜に位置するカルシウムチャネルの透過を促進し,細胞内のカルシウムの濃度を引き上げることにより毒性を示し,筋肉の異常収縮を起こす. 多数のエーテル環が連結した環状ポリエーテル構造を持ち,構造式が判明している最大の天然有機化合物である.構造が複雑なため天然物全合成のターゲットになっている生理活性天然物分子のひとつである.
ここ最近の記事では、ふと気になったので調べてみていた巨大分子について、人工的に合成された物では何と分子量=分子の体重(分子1モル個の重さ)が2億という凄まじい大きさを誇るPG5という物体から、天然に存在する一品モノ(=より小さな構成単位が繰り返しつながったようなものではないモノ)ですと、マイトトキシンという毒素が分子量3422と、億と比べると随分小さいわけですが実際最も大きい天然分子だと、そんな話をしていました。 まぁそもそも本当に、書いている僕本人が「割とどうでもいいな」と思ってるしょうもなさすぎるネタではあるのですが、まぁせっかくなのでもう少し補足をしておきますと…… これに関して、「別に…
前回は、「分子って結局何だよ」って話から、「この世で一番大きい分子は何だろう」という疑問について考え、現状、あらゆる生物の中で最も大きなDNAを持っていると思われる、キヌガサソウなる白い花のオシャレなやつを紹介していました。 とはいえDNAは、A, C, G, Tという4種類の塩基が繰り返しつながっただけで(概算ですが、キヌガサソウの染色体は、40億個もの塩基が結合した、ひとつながりの巨大分子だと思われます)、正直、 「何かそんなのズルいっていうか、ただ小さいものがいっぱいつながっただけで元はザコじゃん、そんなのを王者とは認めたくないね」 …と思えるような気がするかもしれません。 まぁそもそも…
そもそもポリマーとは何なのか? 高校生の頃に化学を履修していたなら,授業でポリマーや高分子という単語を習ったことがあるでしょう。そこで,ポリエチレンやポリスチレンなどの名前や構造を学び,身の回りに広く使用されている素材だということを知ったと思います。下の図のように結合がズラッと並び分子量が何千何万もあるのが高分子だ,とのイメージを持つ方が多いでしょう。 ポリエチレン しかし,例えば以下に示すマイトトキシン (Maitotoxin) という毒素は天然で合成される最も分子量が大きい分子であり,分子量は3422です。(1)比較に,よく目にする低分子としてベンゼンを挙げますが,分子量はたったの78です…