Len Deighton 小説家。 1929年ロンドン生まれ。 作品はスパイ小説が多数。 レイモンド・チャンドラーを思わせる凝った文体で「スパイ小説の詩人」と呼ばれる。 同時期にデビューしたジョン・ル・カレとよく比較される。 異色作としてナチス・ドイツに支配された英国を舞台とした偽史小説『SS-GB』ISBN:4150404526 ISBN:4150404534。 他にノンフィクション『電撃戦』ISBN:4150501858。
他多数
レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する作品は「SS-GB」(2017)です。映画ではなくTVミニシリーズです。 1940年7月に始まったバトル・オブ・ブリテンに敗北した英国は、続く独国防軍によるシーライオン作戦によってブリテン島南部を占領されてしまう。チャーチルは処刑され国王ジョージ6世は幽閉されていた。1941年11月スコットランドヤードのアーチャー警視(サム・ライリー)は、SS-GBケラーマン中将の殺人課で働いていた。アーチャー警視はある闇商人殺人事件を担当していた。殺された男はウィリアム・スポート、原子物理学者であることが判明した。彼には弟ジョンがおり…
正直、これまでにない盛りだくさんな海外出張だった。日英両政府の協力・尽力があって、初体験のことばかり。 ・普通外国人は入れない、外務省の由緒ある部屋での会合 ・ジェントルマンズ・クラブ(*1)でのランチ会合 ・在英日本大使公邸での大使主催ディナー ・副首相も加わっての日英間での覚書締結式 等々 すべての公式日程が終わりヒースロー空港に向かうバスの中では、まだ緊張感が抜けていない。空港のラウンジで着替えて、オレンジジュースを1杯飲んで、ようやく(疲れてはいるが)普段の自分に戻った。 ラウンジで財布の中味を、英ポンド⇒日本円に入れ替えた。稠密な日程で一度も個人的な外出・外食をしなかったから、20ポ…
レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ハリー・パーマー 国際諜報局」(2022)です。 先の大戦後西ドイツ。闇物品の売買を行っていたパーマー伍長(ジョー・コール)は憲兵隊の摘発を受け、軍刑務所へ収監される。MI5、MI6も手を出さない隙間仕事を引き受けている諜報機関WOOC(P)のドルビー少佐にリクルートされ、下級諜報員へ。最初の仕事は、ソ連に拉致された物理学者ドーソン教授の救出だったが、その裏には陰謀が渦巻いていた… 英国スパイ小説の雄レン・デイトンの第一作をTV第6話シリーズ化した作品です。別に1965年にマイケル・ケイン主演で映画化された「国際…
DVDで『パーマーの危機脱出』(1966年/監督:ガイ・ハミルトン)を観る。レン・デイトンの本格的スパイ小説『ベルリンの葬送』の映画化。 東ベルリンにいるロシアの諜報将校ストック大佐(オスカー・ホモルカ)が亡命を希望しているとのことで、ロス大佐(ガイ・ドールマン)に命じられて英国情報部員ハリー・パーマー(マイケル・ケイン)はベルリンにむかいます。ベルリン支局のバルカン(ポール・ハブシュミット)の協力でストック大佐と会い、亡命の意志を確認。西ベルリンに戻ったパーマーに謎の女サマンサ(エバ・レンツィ)が近づいてきます。サマンサはイスラエルの情報部員で、名を変えてイギリス情報部にいるナチの戦犯を捜し…
DVDで『国際諜報局』(1965年/監督:シドニー・J・フューリー)を再見。レン・デイトンの本格的スパイ小説『イプクレス・ファイル』の映画化。 原子力研究のラドクリフ博士が誘拐され、ロス大佐(ガイ・ドールマン)の命令で英国情報局員ハリー・パーマー(マイケル・ケイン)は、殺された護衛の後任としてドルビー少佐(ナイジェル・グリーン)の情報部に着任。博士誘拐はブルージェイ(フランク・ガトリフ)の国際誘拐団に仕業とわかり、パーマーはブルージェイを捜し出します。ドルビー少佐は博士を無事に取り戻すために金で解決。交渉現場でパーマーは怪しい人物を射殺しますが、それが誘拐団を追っていたCIAの諜報員だったこと…
【最近読んだ本】 アンダースン&ビースン『無限アセンブラ』(内田昌之訳、ハヤカワ文庫、1995年、原著1993年)B- ナノテクSFの代表作――だったと思ったのだが、読んでみたらそうでもない。月面で謎の死亡事件が相次ぎ、それがナノマシンの仕業だったと判明して、人類がそれに立ち向かう、という筋だが、結局のところ起こることもやることもパンデミックものと変わらず、えらく古い小説を読んでいる気分になった。ナノテクSFがいまいち流行らない原因が見えた気がする。 フリーマントル『消されかけた男』(稲葉明雄訳、新潮文庫、1979年、原著1977年)B+ フリーマントルは新潮文庫でトム・クランシーなどと並んで…