1964年発表の本書は、ウィリアム・ゴールドマンを有名にしたサイコ・サスペンス。作者の名前は、かなりのミステリ通でも知らないかもしれないが、逆に映画通の人なら「ああ、あの脚本家」とひざを打つかもしれない。何しろ作者が脚色を担当した名画は、20を超える。代表的なものだけでも、 ・動く標的 ・明日に向かって撃て ・ホットロック ・華麗なるヒコーキ野郎 ・大統領の陰謀 ・マラソン・マン ・遠すぎた橋 ・ミザリー ・マーヴェリック と有名作品が目白押しだ。作者は自分を小説家だとして、脚本だけではストレスが溜まってしまうと言っている。しかし本書「殺しの接吻」を読んだ出版社やプロデューサーは作者に脚本家と…