「共犯者」の自白によって死刑判決が下された巻き添え型の冤罪事件である。なぜ己の罪と向き合わずに別の人物を首謀者のように仕立てたのか。 事件の発覚 1972年(昭和47年)7月26日午前11時ごろ、石川県江沼郡山中町の通称・南又林道の奥を流れる大内谷川で、山林調査に訪れていた役場職員が白骨遺体を発見し、警察に通報した。 着衣には刃物によると思われる多数の損傷がみられ、頭蓋骨の右前頭部には直径2.5センチ、深さ0.7センチの楕円形の陥没骨折、右頭頂骨に直径1.5センチ、幅1.1センチ、深さ1ミリ程の浅い骨折が確認された。警察は殺人・死体遺棄事件として捜査を開始した。 翌27日、遺体は着衣や所持品の…